8月11日の第1弾に続き、12/16(日)は第2弾として再び税理士・不動産鑑定士の山野邊佳利先生をお迎えし「社会におけるお金の流れ」について講義していただいた。
以下に当日の山野邊先生講義ダイジェストを掲載する。
【仕事と職種は違うもの】
子どもの頃は「パン屋さん」「ケーキ屋さん」「たこ焼き屋さん」になりたい、と具体的に言うが、年齢が経つと「〇〇の会社に勤めたい」と言うようになる。一つの会社の中には様々な職種があるが、本来「この会社で〇〇をしたい」がないと志望したことにならないはずだが。反対に採用する側としては「〇〇会社で〇〇をしたい」という者を採用したいと考える。そこで、「どういった会社があるか」ではなく、「どういった仕事があるか」を見なければならない。
【お金の三つの機能】
1.交換
2.価値の測定
3.価値の保存(魚は腐るがお金は腐らない)
【お金を手に入れる方法】
1.働く
2.増やす(配当金など)
3.もらう(相続など)
4.借りる
5.盗む
6.作る(基本的には国にしかできないが、国に頼らず技術的にビットコイン<仮想通貨>をつくることも疑似的に「作る」に近い行為)
学校を卒業して、社会では「1」がメインになる。
【実際のお金の流れを考えよう】
◎小売店の場合
生産者、卸売、仕入、運送、加工、品出し、レジ打ち・・・
リンゴ1個100円とする。
卸売は農家から30円で買う、小売店は卸売から50円で買う、消費者は小売店から100円で買う。
こういった経済の流れの中の、どこかの立場で「利益」を得ながら仕事をすることになる。
この流れのイメージをつかまずに就職すると、「こんなはずではなかった」「こんな仕事をするつもりではなかった」と場合によっては辞めてしまうことになる。
なので、社会に出る前に具体的な仕事の流れを把握する必要がある。
◎家を建てる工務店の場合
客が行くのは工務店だけだが、工務店から基礎、柱、壁、屋根、電気、ガス、水道、産業廃棄物・・・それぞれの業者に仕事が分配され、それらがいないと工務店も成り立たない。
◎銀行の場合
客からの預金を住宅ローンなどで別の客に貸す。例えば1,000万を貸して、利息200万をつけて1,200万を回収する。
企業に設備投資の費用を貸して、利息をつけて回収する。これが銀行の儲ける方法。
「投資信託」・・・お金を預かって、それを銀行がどこかで運用する。銀行は手数料で儲ける。
◎不動産賃貸の場合
家賃5万円の中から大家が負担するのは、固定資産税等税金、不動産業者へ手数料、建築業者、銀行へ支払う利息、退去された部屋のリフォーム、クリーニングと、出費が何かとある。アパート経営で食べていくのだ、という覚悟が無いと厳しい。
◎会社の場合
受付、営業、経理、調査部門(マーケティング)、企画、法務、人事・・・
このように、具体的に「そこで何をするのか」を明確に考えることが大切。
【会社の成績表(財務諸表)の基礎】
◎損益計算書(P/L)
◎貸借対照表(B/S)
◎キャッシュフロー計算書(「儲かっている」ことと「手元にお金がある」は別。儲かっていても倒産する会社がある)
【マズローの五段階欲求】
「生理的欲求」(眠い・ご飯が食べたい)
↓
↓満たされると
↓
「安全欲求」(内戦の続いている国の国民は安全欲求が高い)
↓
↓満たされると
↓
「愛情・所属欲求」
↓
↓満たされると
↓
「承認欲求」(自分を認めてもらいたい・自分を見てもらいたい・・・近年はSNSの「いいね!」で承認欲求を満たす人が増えている。それに伴うリスクも大きくなっている<画像の流出と拡散など、時間が経っても過去の写真が消せない。ドライブレコーダーの登場などにより秘匿の難しい時代になっている>)
↓
↓満たされると
↓
「自己実現欲求」
【最後に】
◎好きなことを頑張って「何かをした」という経験が大事。
◎物事は因数分解、要因・要素分解で考える。
物事を達成するために何が必要で、自分に何が出来て何が出来ないのかを知る。そこを経ずに壁にぶち当たる人が多い。
◎入社3カ月で「こんなはずじゃなかった」と会社を辞める人がいる。
学校の勉強は答えが先にあるが、社会に出ると答えのない問題に答えを見つけることの連続。頑張らなければならない時もある。雑用・下積みは無駄にならない。(こんな仕事は他の人にさせればよい、というのであれば、「他の人」とは誰か??)
無駄な経験は何ひとつなく、むしろ、経験を無駄にするかどうかは自分次第。世の中には自分の知らないことの方が多いのだから。
◎クイズ番組を見よう。
◎世の中は常に変化していく。
一度身につけて大丈夫ということではなくなっている。
◎どんなに機械化が進んでも最後は人と人。直接会って話をすることが大切。
絶対に現場に行かないと見えないものがたくさんある。
◎好きなことと得意なこと、出来ることは必ずしもつながらない。
自分が出来ることについて、教えるのが苦手な人もいる。また反対に、自分が出来ないことであっても、教える方が得意な人もいる。
◎どんな相手でも自分の先生だと考える。
◎東京医科大の不正入試
社会にはそんなことだらけ。その中で折り合いをつける、自分はどうあるのか。
※山野邊税理士・不動産鑑定士事務所
http://yamanobe-office.c.ooco.jp/