民間教育が「型」を習得させてきた

先週末、梅田のグランフロントで教育開発出版の教材展示会が開催された。今春からは小学教科書が改訂され、来春からは中学教科書が改訂されるが、塾用教材も同様に全面刷新される。今回の改訂ポイントのひとつは「大量の情報の中から必要な情報、要点をすばやく読み取る能力を養う」こと。「読むのが面倒」「読解力がない」「そもそも問題文すら読まない」といった、従来の勉強が苦手な子たちは完全に放置されていく方向性にある。

さて、来春改訂される塾用中学教材のサンプルを見ると・・・

◎自分で例題を反復して「型」を身につけてから演習問題を解く流れ、つまり自己解決力の養成を目的にしている
→「授業をしない授業」スタイルが増えているように(※講義の垂れ流しをしない当塾の授業形式はまさにそれであろう)、「教えられること」を前提とした教材ではない
◎ベースとなる一冊の教材を取り囲む「生態系」のように実験過程の動画配信、システム化された単語テストといった諸機能が連動している
→単に授業を受けるのではなく、自分でスマホで動画を見る、Excelでエクスポートされた単語テストを随時受ける、といった生徒自身にハイブリッドかつ能動的な行動が必要とされる、すなわち「忙しい」教材になっていく

進化した最新教材でありながらも、一方で「日本の教育の底上げをしてきたのは、昔も今も学習塾・塾用教材会社による民間教育である」という自負がヒシヒシと伝わるものであり、その根底には時間と手間暇をかけて「型」を習得させるのは学校ではなく塾なんだよ、という気概も強く感じられた。