証明問題の指導法

中学2年の今の時期といえば数学の「三角形の合同の証明問題」。この大きな壁が今後の高校受験の命運を握っているといって過言ではない。もちろん、生徒の理解の度合いに応じて、証明問題は扱う場合と扱わない場合がある。また、最小限度に留めておくこともある。

本記事では、証明問題をフルに扱う場合の指導法について考えてみる。

この生徒に証明問題を仕込むぞ、と方針を定めた場合、この単元だけは学校よりも1ヶ月程度早くに塾で着手を開始する。そして、三角形の合同条件(3種類)を覚えさせた後で、基本的な作文パターンを徹底して刷り込んでいく。


⊿ABEと⊿DCEにおいて
∠AEB=∠DEC(対頂角)…(1)
AE=DE(仮定)…(2)
BE=CE(仮定)…(3)
以上(1)~(3)より2組の辺とその間の角がそれぞれ等しいので、⊿ABE≡⊿DCE
対応する辺が等しいので、AB=DC

のように。

始めから最後まで自力で作文させる問題を5パターン程度与えて、これをひたすら練習させる。ここでNGなのは「仮定よりAE=DE」といった他の言い回しを扱ってはいけないこと。もう一つは穴埋め問題にはしてはいけない、という2点である。穴埋め問題では、文章のエネルギーが本人の中にバシッと入っていかないので、習い始めでの穴埋めはダメ。また、証明問題はさまざまな解答の書き方があるけれども、あの方法もこの方法もと混乱を誘発させず、「AE=DE(仮定)…(2)」のように決まった書き方をまずは一本調子で習得させることだ。

まずはどのような問題でも同じ書き方で証明していけばよいのだよ、という証明問題に対する心理的抵抗を和らげることが大切。そのために核となる基本の作文法をきちんと習得させることが肝要。証明問題においては特に、指導の上手下手がくっきり分かれる。それくらいに指導する側にとっても気合と覚悟の必要な重要単元といえよう。