いかに自力を引き出すか

中学生の定期テストが近づいているが、生徒によってテスト前の授業の仕方は異なっている。

【1】あえてテスト前の授業を無しにする
テスト前1週間程度の授業設定を避け、テスト終了後に授業を再開する場合。
これは元々自力で評定5が取れている生徒で、そういった生徒は自身の流儀が出来ているものだから、そこで塾が変に介入してその生徒のリズムを崩すことのないようにする。

【2】テスト前の授業を質問中心とする
前項の【1】には至らなくても、テスト勉強の取り組みに信頼が置ける生徒には、来塾させながらも塾の介入を最小限にして、質問を受けたり、生徒からの要望に応じて練習問題のプリントを渡したりすることに留める。

【3】特定の教科にしぼってひたすら問題練習
全教科の底上げが厳しい生徒、しかしそういった生徒でも何らかの「塾の影響」による成果をもたらしたい。その場合、教科や取り組み範囲をこちらでしぼって、得点させたい問題をひたすら練習させる授業(5教科まんべんなく取り組んだ方が、ご家庭としては安心感があるだろうが、砂漠に水をまく状態にもなりかねないため、得点させるターゲットを大人側が明確に絞り込む方が現実的)。テスト後の成績表には特定の教科や単元のみが出来ている状況になるが、その生徒の自信を育む一つの手法となる。

【4】学校提出ワークの消化とワークの練習
学校に提出するワークの塾締め切り日を設けて、終了したワークを1ページずつ範囲表をにらめっこしながらこちらが確認するケース。ワークの学習内容が生徒のキャパシティを超えているようであれば事前に「自力で終える範囲」と「自力で終えなくてもよい範囲」を指定することもある。要は生徒自身の手先と頭脳が動き続ける状態をいかにこちらが演出していくか、ということだ。提出分の終了した生徒には、ワークの反復練習方法を指示する。

【5】番外編
上記の【1】~【4】は大体勉強の得意度順に並んでいることがお分かりいただけるだろう。やはり生徒の個々の状況に則した指導が不可欠であり、全員を一つの方法でまとめようとすると必ず「吹きこぼれ」と「落ちこぼれ」が出てしまう。

で、番外編とは「テストの存在」に対する意識が薄い生徒、例えば「テストいつからだったっけ?」と尋ねて、キョトンとしている生徒には、テスト直前まで塾がテストの存在を知らなかったかのように通常授業を続け、テスト数日前になって全科のワーク提出を(もちろん範囲を仕上げた状態で)求める、といった手段で生徒を追い込むこともある。その生徒が主体的になっているか受け身(無思考)になっているか、指導側は大切に見極めなければならない。

いずれにしても生徒自身の意識を喚起することが目的で、生徒の自力、自助努力を引き出すための塾の試行錯誤の一環ということだ。

追記
テスト範囲表を「○○中学校のうちの誰か一人持ってきて」という形式ではなく、一人ひとり全員に持参させるというのも、生徒自身に当事者意識をもたせることを意図している。