面接の極意

私立高校の入試が直前に迫ったが、神尾塾では取って付けたような面接の稽古はしない。なぜならば、日常の塾内での振る舞いをきちんと正しているからだ。はっきりとあいさつをする、両手でモノを渡す、椅子を仕舞う、入退出時の「失礼します・失礼しました」。

あとは「面接カード」なる想定問答集に記入をさせて、適切な返答を生徒が持っているかどうかを確認する。学校で行われる面接練習は最終確認とし、それで仕上げとする。何ともあっさりしたものだ。

他で有りがちな、普段がグータラとだらしなくしている人間にいざ面接の時だけ練習を繰り返させるのは、表面をつくろっているだけのことなので、私は心底好まない。

と、これらの話に追加して、一部の生徒には「パンフレットをよく読みこんでおくように」と伝えている。

ちょうど昨夜、ある生徒にこういう話をした。

「将来、君に彼氏が出来たとするね。その彼氏に『君のことが好きだ』と言われて『なんで好きなの?』となった時に、『いやー目の前にいたのがちょうど女の子だったから』と言われるのと、『いやー君はピアノも上手だし、将来○○の職業も目指しているし』と言われるのではどちらが心が動くか、だ」

「面接も同じで、仮に県立第一志望で私立の受験が気持ちの上で定まっていなかったとしても、『たまたま内申がちょうど満たせたので受験しました』という気持ちで面接を受けるのと、『さわやか はつらつ ひたむき、の校訓が素敵に思えたので受験しました』というのでは相手に与える印象も180度異なる」

「だから、今日から今晩・明日の晩・明後日の晩と、寝る前にベッドの中でその高校のパンフレットをくまなく読み込んでおきなさい。そして、面接の時には、そこに書かれている内容や言葉に関連させた返答をしなさい。多くを語らなくても、そういう気の利いた一言が言えれば面接は一発でOKだよ」

と。

これこそ「汝(なんじ)の敵を知れ」である。ここまで準備しておけば、当日頭の中が真っ白になろうが、シドロモドロになろうが、素の姿をそのまま見せればよい。これまで神尾塾に入塾して培ってきた「素地」があるから、決して悪いようにはならない。