集中力アップの秘訣

神尾塾の授業では、生徒が着手していたプリントを仕上げると「終わりました」と伝えてくれる。私がそのプリントを受け取るのと同時にすかさず、次のプリントを渡す。ここでの心得は、中途半端な間をつくらないこと。これに尽きる。

例えば、生徒がひとつプリントを提出した。そこで先生が「えー、次はですね、因数分解のプリントを・・・解いてみましょうか」のように変な間を作って生徒にプリントを渡すと、その時すでに生徒の方では集中の線がプチンと切れてしまう。これだけで学習効果は断然下がる。

切れ目をつくらないためには、こちらはこちらで次に生徒に渡すプリントを用意しておかなければならない。また、同じ種類のプリントが続けば生徒は飽きる。飽きることを踏まえて、どういった構成にすれば生徒が新鮮な気分を持続できるか。そんなことを考えながら、こちらは段取りに余念がない。混乱しない程度に1指導時間内に複数教科を扱うのも、新鮮な気分を呼び込むためである。

指導時間中、私はカシャカシャとパソコンのキーボードを叩いているが、ここで使用したプリントの種類、次回使用する具体的な教材名とページなど指導にまつわる記録をすべて入力している。料理でいえば下ごしらえに手間をかけて、生徒に渡すプリントの段取りの精度を高めることに力を注いでいる。

先ほどの「変な間」でいうと、丸付けもそうである。生徒がプリントを提出した、その場で生徒の前で先生が丸付けをする。その丸付けをしている時間、基本的に生徒は他のことを考えるのだ。ここで集中が切れる。だから神尾塾では丸付けをする間、生徒には英語のプリントを音読させるなど、とにかく切れ目をつくらせないことに腐心している。

このように切れ目をなくすことと、使用する教材に緩急をつけることで一定のリズム感をもって生徒が各種問題に向かえるように心掛けている。