運命の分かれ道

—(引用ここから)
元木大介さん「高卒は引退しても仕事がない」と告白
~プロ野球選手のセカンドキャリア事情~
The Huffington Post 2015年11月26日

元プロ野球選手で野球解説者の元木大介さん(43)が11月23日放送の『ビートたけしのTVタックル』に出演し、プロ引退後の選手事情について暴露した。「高卒は仕事がない」のだという。

この日、番組ではアスリートのセカンドキャリアについて特集。アスリートの引退後のキャリア支援などを事業にしている株式会社アスリートサポート代表取締役・横原義人さんが、元木さんらとともにアスリートの第2の人生を紹介した。

元木さんは、1990年にドラフト1位で巨人に、契約金9000万円、年俸840万円で入団したことを紹介。年俸は最高で2億円まであがった。しかし、2003年に戦力外通告。「33歳のときにクビと言われたんですが、後のことは何も考えていなかった」と告白した。

横原さんは、アスリートの中でも野球とサッカーのプロ選手が、引退後に次の仕事が見つけにくいと解説。その理由として、サッカーや野球は球団から戦力外通告があることを挙げた。他のスポーツ選手だと自分が限界を感じた時などに引退を決意するが、プロ野球選手らは、「辞めたいと思っている時に辞めるんじゃなくて、突然こなくていいと言われる」のだという。

元木さんは「大卒は有利。大学という繋がりで仕事がある」とコメント。大学の先輩などが、仕事を紹介することがあると説明した。しかし、一方で、「高卒というのは、本当に仕事が無いです」と厳しい表情を見せた。

(中略)

横原さんは、日本の野球選手らが高校生時代からあまり勉強をせずに野球一筋に生きてきたのとは対照に、アメリカのメジャーリーグではプロ選手が練習の合間に勉強をしていることを紹介。プロ野球選手のセカンドキャリアという言葉は、メジャーリーグには存在しないことを明かした。
—(引用ここまで)

ハフィントン・ポストの昨年秋の記事。

この文章を読んで思うのは、鎌ヶ谷の地域性のこと。東西に走る総武線からそのまま北へ、南北に走る常磐線からそのまま東へ、北向きと東向きの下り坂の重なった最も低い地点に位置しているのが鎌ヶ谷。これは標高の話ではなく、学力の話だ。例えば2015年春の鎌ヶ谷2中では卒業生の約半数が偏差値40以下の高校に進学している。(※それが悪いという話ではない)

鎌ヶ谷の中でも鎌ヶ谷駅~新鎌ヶ谷駅の東武線沿線をピークとして、そこから離れるに従って学力が低下していく。殊に船橋市北部から鎌ヶ谷にかけてのエリアは学力に難のある地域と言ってよいと思う。それは、県立高校の分布を見れば、その地域の学力と相関していることとも連動している。ただし鎌ヶ谷は新鎌ヶ谷が街開きして、この数年で大手進学塾が進出し始めているように、新鎌エリアの学力層が鎌ヶ谷の平均学力を引き上げ始めているというのは言えなくも無いだろう。

ここまでが鎌ヶ谷を取り巻く学力の地域性の話で、だからこそ学校では何に力を入れるかと言ったら部活動に力を入れやすくなる。中間・期末の定期テストの4日前まで普通に部活動をしているのは、2週間前に朝練停止・1週間前に午後練完全停止をしていた都内の中学校で育った私としては驚きでしかなかった。

「えっ、いつ勉強するんだよ?」と。鎌ヶ谷には「お前達は勉強が苦手でもスポーツがあるんだからスポーツで結果を残しなさい」という暗黙の傾向があるような気がしてならない。先生方にとっても、学習面で結果を残しにくいから、スポーツで結果を残して先生方の自尊心を守る、といった先生方自身の潜在意識のようなものもある気がするのだが。

駅伝はその一つで、もちろん鎌ヶ谷5中のように全国大会で結果を残したのは素晴らしい。しかし、例年サッカーや野球など他の部活動に参加して、同時に駅伝練習にも呼び出されて銚子や葛南などの大会に出場する。中3であっても7月の総体で本来の部活動を引退したにも関わらず、10月までは駅伝部の活動を続けて夏の合宿や放課後練習に毎日参加するという、生徒は生徒で「先生に期待されているから」「僕には駅伝があるから」と妙な信念を持ってしまって結局まともな受験勉強をしないまま冬を迎える。

悪い言い方だが、秋の大会が終わったら「捨てられる」のである。「大会は終わった。これからは志望校に向かって高校受験を頑張りなさい」と2学期の通知表の所見欄に書かれる。やれ部活だ、やれ駅伝だとさんざん練習に没頭させられた挙句に、よほどそこで記録を残したのでなければ、誰も進路の責任を取ってくれないのである。

毎年毎年そうやって勉強しないことを正当化させる、または勉強しないことは本人の責任で、そういうことではなくスポーツでも何でも一生懸命に取り組むことが大事なのだと、論点を誤魔化されながら中学校生活を送るパターンが鎌ヶ谷の地域性というか傾向と言えるだろう。

「7月の総体が終わったら勉強に切り替えるから。」→これ無理である。やはり勉強は習慣の産物なので、時間をかけて土台を作ってこなかった生徒が中3の夏休みに入っていきなり塾に来て受験勉強を始めようと言ったってどこかで行き詰まる。挫折してしまう、行き詰まる前にその生活に入っていけない、ということがほとんどのパターンだ。この恐ろしい罠(わな)に気づいて、「これはこのままではマズいぞ」と1日でも早く勉強する態勢を築けるかどうかが運命の分かれ道になるように思う。