『理解するとはどういうことか』、を生徒自身が理解できているか否か。指導の上ではここを見極めることが大きな分かれ道となる。これが「できている」生徒であれば、例えば入試問題の過去問練習をするという抽象的な指示であっても、解説書を確認したり質問をしたりしながら解ける問題が増えていく。
ところが、理解の至っていない生徒においては、同じく過去問練習の指示であっても、その解答を丸覚えすることが勉強なのだと勘違いを起こしてしまい、例えば「アオウエイ」と記号を並べ替える問題であれば、その記号だけを丸暗記しようとして、問題の内容そのものを全く理解していないことが往々にして起こったりする。結果として学力には何の足しにもならない。
指導者としてはこの前者と後者の違いを見抜かなければならない。記号を丸暗記するような勉強になっている生徒には、それを防ぐような、思考停止させない授業の工夫が求められるのである。現在、中3生の県立高校受験対策において、一部の生徒には過去問の使用を停止して、類題を「考えて解く」「調べて記入する」「暗記練習」の3ジャンルに分けてとにかく生徒自身を思考停止に陥らせない勉強法を実施している。
指導者と生徒の間の、かけひき・格闘・いたちごっこ、が日夜続くのである。