「因数分解を用いて102×78を解け、という問題の公式を忘れたから公式を教えてください」と中学生が質問に来た。
生徒にもよるが、こういう時まず私は公式を教えない。「忘れたなら忘れたなりに自分で考えて答えを出せ」と突き返す。
もしテストで同じ問題が出たらその生徒はどうするのか。恐らく「分からない」と空欄のまま答案提出するだろう。
それではいけない、と私は思う。どのような手段を使ってでも、自分の持てる技術を使って最大限の成果を出すことが重要だ。
しかし、現代においては先にツールを与えられるのが当たり前になっているので、こういう時に小学生の筆算すら使わずに本当に分からないからと空欄で提出するケースが非常に多くなった。
「あれ、公式を忘れたな。でも小学生の筆算で解けるから、とりあえず答えを書いておこう」・・・人生の答えとしてはこれが最適解なはずだ。
そういう生徒の姿を見て、そこで初めて「実はこれはな、」と問題が意図する解法を教えるのが指導者の役割だと私は思っている。
現代は本人が考える前にツールを与えすぎだ。与えすぎるから考えなくなる。豊かさが不幸を呼んでいるとしか言いようがない。
◆
当塾についての詳細な情報はこちらをご覧ください。