高校受験と作業

県立高校の入試を控えて、過去問の取り組みの指示も2種類に分かれてくる。それは「平成○年度の問題を解けるように練習しておく」という指示と、「平成○年度の問題を3回反復練習する」という指示である。

前者は、生徒を完全に信頼している。「理解する」とはどういうことなのか、を理解している生徒には解説段階で疑問点を解消しておきながら、あとは自主的な反復練習を期待して、その後の確認テストで定着度を確認する。

後者は、生徒の学習状況を信頼できない場合である。つまり、理解するという行為が不十分の生徒、解説段階で「分かった」気になっただけで、自力で解けるための練習を怠る生徒である。この場合、確認テストを行っても好結果は期待出来ず、仮に確認テストが出来ていたとしても、実際には解法を理解していないのに解答を丸暗記しているだけであったりするのだ。だからそういう場合は練習方法と回数を具体的に指定して、その取り組んだ結果をノートで提出させる管理学習に持ち込むしかない。

この前者、まさに「勉強」であり、後者は「作業」であるが、この構図は見方によっては、社会に出てからの「使う人(指示を与える人)」と「使われる人(指示を待つ人)」の構図に似ているような気がする。もしかすると高校受験は、社会の縮図を示しているのかもしれない。