鎌ヶ谷から見ると、船橋県民の森、アンデルセン公園の先に位置する本校。新鎌ヶ谷・柏・千葉・津田沼など各地からのスクールバス9路線が生徒の主な交通手段となる。
中学校の方は、来年から「秀明大学学校教師学部附属」となり、大幅なリニューアルが施される。まず、中学校長には学校教師学部の准教授であり、県立千葉中の立ち上げに6年間尽力された富谷利光先生が着任予定。県立千葉中開設のノウハウを本校に注ぐことを今回の改革の柱とされ、また、学校教師学部と連携し、中学生が大学で理科実験などの特別授業を受けられるようにすること、万葉集に出てくる料理を実際に作ってみるといった体験も大学内で中学生にさせていくということだ。
他に、教員志望である学校教師学部の学生による授業・放課後の学習個別サポート、大学生と部活動の連携、教職員にとっては大学と中学校が一体となって授業研究に臨むこと。情報の授業では、最新機器を導入した大学のコンピュータ設備を利用して、他校ではめったに使う機会のないMacに触れさせること。現在建設中の温水プールといった大学のスポーツ施設を活用できること。このように、中学校を大学の直属に置くことでマンパワー・設備面のメリットを最大限に活用していこうという狙いがある。中学校独自の取り組みとしては農業体験も開始する。
ちなみに全寮制である秀明大学の学校教師学部は、教員採用試験の合格率が43%で、国公立大教育系学部の30%台に比べて高い。非常勤を含めた教員就職率も70%で、こちらも国公立大の60%と比べて引き離している。
さて、現在高校では中学内進生と高校からの外進生を混合させたクラス編成となっているが、これを混合させずに、純粋な中高一貫のクラス編成にしていく方針のようだ。そのため、数研出版の「体系数学」などの中高一貫教材が使用出来るようになる。近年、中学校は募集人数に対して生徒が集まりにくく、本年も定員80名のうち、入学者は28名に止まった。もちろん、不合格者も出しているし、選考を厳密に行った上での生徒数である。中学入試は2教科各60%以上の得点が必要だが、同時に保護者面談に力を入れており、秀明教育に理解出来る家庭であることを特に入学条件としている。不合格となった生徒は、学力というよりも学校生活・人間関係に適応出来ない見込みの生徒が大半であったということだ。
現在の中学校の授業は英・数・国・英会話の4科目で到達度別クラス。週5日制で、月2回は土曜日に講習を実施。中2で2週間のイギリス留学を全員参加で行う(36万円)。期間のうち半分は秀明学園の英国施設、残り半分はホームステイとなる。
次は高校について。
高校は「特別進学(60名)」「国際英語(60名)」「総合進学(250名)」の3コースに分かれる。大半の生徒が属する「総合進学」コースは男女別クラス。来年度より「総合進学A(60名)」「総合進学B(190名)」に分かれて後者は文系私大専門コースとする。従来から学力別にホームルームが編成されてきた中で、来年度からさらに圧倒的多数の「B」が文系専門になるということは、どういうことか。ここでは書かないが、読者の想像に任せるとしよう。
多くの授業が到達度別クラスで行われ、土曜日は全員参加での特別指導があるので実質週6日制。イギリス留学は高1秋に全員で4週間行う(2週間は秀明施設で研修、2週間はホームステイ)。費用は60万円以内でおさまるとのこと。一括納入が困難な家庭のために無利息6回ローンの設定も可能。同じく1年次に全員裏千家の茶道(ちゃどう)を学び、申請すれば免状も取れる。部活の加入率は5~6割。今年は全国選抜高校テニス大会で個人優勝、テニス部・空手部はインターハイに出場している。
中高の共通点としては、英会話に力を入れていること。文法よりも「使える英語」に比重を置き、イギリス人専任講師8名が指導にあたる。昼食は中高6年完全給食制で、月額8,300円。冒頭にスクールバスについて書いたが、近年の全国的なツアーバスの事故多発により、国土交通省からスクールバスの代金を値上げするよう指導が入っているという。従って、来年度値上げが行われる可能性は高い。
本校が礼儀・規律を大切にしているところは他校と比べて特筆すべきものがある。例えば、入学すると生徒は生徒手帳の裏に両親の顔写真を貼ることになる。そこには「あなたがこうして私立学校へ通えているのは、両親のおかげである」「両親への感謝を常に」と記されている。秀明教育とはなにか、ということは外部からは見えにくいのだが、生徒手帳の例のように入学後に見えてくる本校の良さは意外と多い。
(11月11日訪問)