聖学院中学・高校(北区)

JR駒込駅東口を出て距離の短い商店街を右折すると聖学院通りになっている。5分ほど歩くと左前方に本校が現れる。グラウンドを横目に階段を上った先が正面玄関。右手を入ると全校生徒を収容できる2階構造966席の講堂がある。ここでは毎朝15分間、全校生徒が参加する礼拝が行われる。

キリスト教精神に基づく本校は明治39年の創立で今年107年目。男子校で高校募集は行わず、中学校からのみの入学となる中高一貫校。ちなみにキリスト教関係の生徒は5%程度となっている。 (※隣接する女子聖学院中学・高校については過去記事を参照)

中学1,2年の授業で基礎基本を徹底し、ノートの取り方までも管理する。各教科の単元達成度も合格シールを掲示するなどして、きめ細やかに指導。理科にも力を入れ、中学3年間で150程度の実験・実習を行う。そのための理科教室も6教室用意されている。普通教室は電子黒板が設置されており、電子黒板といっても通常の黒板に照度の強いプロジェクターを投射しているということなのだが、英語の長文解釈などでこれらの機材が頻繁に使用されている。

クラス編成は中2から高1までは「Advanced Class」「Regular Class」に分けられ、毎年入れ替えが行われる。高2からは「選抜」「文系」「理系」の各クラスに分割。各学年の先生方は中1から高3まで6年間そのまま持ち上がるのが大きな特長。

また、「手づくりの体験学習」と称して糸魚川での農村体験、北アルプス登山などを実施。物事の本質に触れさせるということと、現場を直接見させて自分の頭で考えさせること、ひいては自己決定力、決断力をもたらすことになる。タイ研修旅行は希望制だが、現地住民と触れ合って社会に対する問題意識を持つ生徒も出てくるようになり、そこからモチベーションに火がついて帰国後に勉強量の増加と学力の伸長が見られるケースも増えている。学習面に限らず全人的に幅広く体験をさせていく中高6年間なのだ。

さて、校舎1階には食券購入形式の食堂がある。中1-2には弁当持参を推奨しているが、それ以降の学年は食堂や売店で昼食を購入することが出来る。図書館も規模は小さいながら公立図書館のように新刊本から話題の本までが充実し、司書の先生も常駐されている。朝7時半から夕方5時まで開館し、窓際には自習用のキャレルデスクも設置。

英語教育については「英語の聖学院」の名の通り定評があり、受験情報誌「大学通信」の調査で首都圏の私学第3位にランクインしている。大学進学実績も近年伸びが著しく、GMARCHならば2011年度36名から2013年度70名合格と、うなぎ上りである。2年前に戸邉校長の着任と共に先生方の人事異動が大幅に行われたようだが、改革を断行中ということであり、今後も変化と成長が続くであろう。

私の印象としては、とにかく「あたたかい学校」。学校訪問をしてきた中でこれほどまでに「あたたかさ」を感じたことはない。男子校であって男子校でないような、汗臭いとか粗雑だとかそういうことでなく、生徒たちがひとつのあたたかいの光に包まれているような印象を受ける学校である。先生方の真摯で誠実で活力あるお姿に接し、この学校になら生徒を預けたいと素直に思えてしまった。この一言に尽きる。