昭和学院中学・高校(市川市)

京成電鉄の本社が移転してきたり、再開発真っ只中で変貌を遂げつつある京成八幡駅。ここから北へ15分程度歩いた先に昭和学院がある。
まず南側から中学・高校校舎、体育館・グラウンド、伊藤記念ホール。ここまでは創立70周年事業で2010年に新築された。そして木造の古建築を移築させた創立記念館、中・高校舎とは打って変わって年数を経た小規模の短期大学、真間川をはさんで小学校と幼稚園が建ち並んでいる。

伊藤記念ホールは席数450のコンサートホールで、音楽鑑賞の授業、中学生合同行事などで使用される。造りが立派すぎる割には座席数が少ないのが利用価値を下げてしまっているようで大変もったいないとつくづく思う。豪華な造りなのだから、客席を後方に延長して収容数を増やし、一般貸し出しをすれば良い会場になるのに…と思うのだが…。少なくとも中野サンプラザとか神奈川県民ホールとか、商業的なコンサートで使用される会場よりは遥かに重厚だと思うのだ。

伊藤記念ホールを出て中・高校舎へ向かう道はちょっとした公園のようになっている。ここも、若干無駄に広いだけのような気がして、そんなスペースがあるのなら駐車場を増やせばよいのにと思うのだが、実際駐車場は10台程度のスペースがキャンパス内に数箇所点在するのみで、必要台数は足りていないはずだ。かくいう私も「駐車は遠慮を」とのことで近隣のコインパーキングに車を停めてきた。「なんだかなー」という気分である。デザイン優先なのだろうが、妙なところに数センチの段差が設けられているのも危険な気がした。(ちなみに私はコケてしまった…)

広報ご担当の先生に校舎を案内していただく。人工芝の屋外グラウンド1面に対して、冷暖房完備のメインアリーナ、空調のないサブアリーナ(風通しが良いので夏場も全く問題ない)、1年中使用できる温水プール、武道場、トレーニング室と、屋内運動施設が大変充実しているのが本校施設の大きな特長。実際数多くの部活動でインターハイまたは県大会での成績を数多く残している。この夏のインターハイでは7部76名が出場し、バスケ部は準優勝している。

各階には特別教室が十二分に配置されており、化学教室2、生物教室2、物理教室、地学教室、プラネタリウム室、美術教室2、調理教室2、被服教室、音楽教室2、その他セミナー室複数と、生徒数に対して特別教室が充実し過ぎていて、各室の稼働率は30%にも満たないのではないだろうかと思う。ある日のひとつの時間帯で見れば、使われていない特別教室のほうがほとんどだと言ってよいだろう。

プラネタリウム室は女子校当時の旧校舎にもあった。今回新校舎のプラネタリウム室を見せて頂いたが、50名程度の収容で、シートの倒れる本格的な設備である。こちらも、ここまでの装置を作るのならば、1クラス分といわずもう少し席数を増やして一般公開すればよいのにと思う。伊藤記念ホールと同様に、帯に短したすきに長し…の感が否めないでもない。もちろん、校内のみでの使用ということを考えれば、贅沢すぎる、といったところである。

今春の中学校入学者の男女比は約1:3で、まだまだ女子校時代の面影が残っている。高校でも男子186、女子227がこの春入学した。高校のほうが45:55で男女比が平均化しつつある。高校は1学年12クラスで、うち3クラスが内進クラスを含めた特進コース、その他9クラスが総合進学コースとなっている。高校入試の時点では特待生を除いて一括募集をしているが、入学確定後に学校が判定をして特進コースと総合進学コースへの振り分けを行う。

カリキュラムとしては、来年から完全週6日制へ移行する。また道徳の授業を週1時間導入。中学内進生と高校からの外進生を別クラス編成とし、中高一貫生の学力を上げることに力を入れる。また、一人ひとりの生徒への面倒見のよさを追求している。

食堂は無いが、毎日1時間目の終わりに申し込みをすると、弁当を購入することが出来る。

コース、学年によらずどの教室も落ちついているのが大変特徴的で、私のような見学者が授業を覗いていても、よそ見をする生徒が非常に少ない。これは素晴らしいことである。充分すぎる満たされた教育環境で、ゆったりと3年間または6年間を過ごす。設備面での無駄の多さは若干否めないが、これはこれで本校なりに良いのではないか、と思えてきた今回の昭和学院訪問であった。