両国および蔵前駅下車。近隣に国技館、江戸東京博物館、関東大震災・東京大空襲の犠牲者の遺骨を安置した東京都慰霊堂がある。また、日大一中・高、墨田区立両国中もある。両中といえば、私が江東区森下の塾に居た頃、両中の生徒が多数在籍していた。そんなことを思い出しながら…。
安田学園は平成25年に創立90年を迎える。私のイメージは「黒板が紫色」。深緑ではなく、深紫色の黒板を使用しているのは昔も今も変わらない。ウン十年ぶりの訪問であった。
下町の男子校であるが、現在学園をあげて学校改革を断行中だ。旧安田財閥の流れをくんで長らく実業科を設置していたが、3年前に商業科、建築科を停止、今春からは情報処理科、電気情報科も停止。これで実業科は全て廃止された。昨年の関東第一高校(江戸川区)もそうだが、高校での実業科廃止は時代の趨勢(すうせい)である。
5年前に着任した鈴木校長は旧安田生命の元専務であり、教育企画開発本部長には埼玉県の開智学園を校長として中高一貫の進学校に押し上げた高野孝氏が着任している。ズバリ、徹底した「進学校」化を成し遂げようとしている。
中学改革としては、入学時からクラスを差別化する「先進コース(20名)」の設置。首都圏模試偏差値55以上を目安とし、東大への2名合格を目標としている。「探究(自ら考え学ぶ)」を学習テーマとし、野外体験、英語の強化を柱としている点は、開智学園の成功例を導入していると見える。恐らく、そう年数がかからずに成功するだろう。
少なくとも10年前までは、近隣の公立小・中学校の生徒が、さほどの成績でなくても入れていたのが安田学園だった。実際「ん、この子が?」という例も私は複数目撃してきたが、現在の改革には無理を感じないだけに、今後の動向が注目される。
スポーツ面では鎌ヶ谷に合宿設備を伴ったグラウンドがある。運動部によっては学園のバスや総武線、東武野田線経由で新鎌ヶ谷までわざわざ移動せねばならない。この点が都心の学校の弱点ではある。