自由裁量

通常の授業も自習課題もそうなのだが、私は「自由裁量」というものを大切にしている。つまり、自分で判断すべきことは自分で判断しなさい、ということだ。7割がガイドレールの上での走行だとしたら、残り3割は自己判断で歩かせる。

この比率が逆転してしまうと、今度は大人の無責任ということになるから、いわゆる放任主義というものを私は否定する。あくまでガイドレールを設けた上での自由裁量だ。だから3:7ではない。7:3である。

生徒が問題を解く手を止めているとき、私はあえてこれを放っておくことがある。見て見ぬふりをすることが私は授業中によくある。そこで助け舟を出す方がその子のためになる時は手を出すが、このまま放っておいてもしばらく経てば自分で解決できると思えば放っておく。つまり、泳がせておくということだ。この采配は微妙であるから、一概にこうとは言えない。むしろ私の感性で判断しているとしか言いようがない。

さて、このところ中3生は英語に時間を割いていることが多いが、I・R君の取り組みを見て感心した。彼は長文解釈をしながら、分からない単語を手元のメモ用紙でリストアップし、単語帳としてまとめていた。これぞ「自由裁量」である。こういう自己工夫、与えられた枠から一歩踏み出す行為、創意と工夫。これが「自己肯定力を育む」なのだ。今後の伸びが楽しみである。