勝手に遊ぶ人

年末の面談で親御さんと「内職」の話で盛り上がった。
私が小中学生時代に親に隠れて内職をしていた、その内容について突っ込んだ質問をされながら大いにウケていただいたのだが、

ひと昔前であればプラモデルとか、現在であればゲームとか、プログラミングとか、それはそれで楽しみを持つのは良いのだが、私としてはそういった他者から受け身的に与えられる「キット」ではなく、無から有を生むような、何もない所で勝手に遊べる人になってほしいと生徒に対して思っている。

私の内職の場合、使用済のティッシュペーパーの箱を解体して駅や建物の模型を作っていたのだが、模型を作ること自体には大して気持ちが燃えず、作った模型を一度泥などで汚してから、そこに「リニューアル工事」と称して新しい化粧材を施していく遊び、この遊びに燃えたのである。

20年前ならこんな暗くて変態チックな話は恥ずかしくて人に言えなかったが、その後大学に行って建築学科でそのスキルが自動的に役立ったので、やはり自分のオリジナルの楽しみを持つことは必ず生きてくる時が来ると確信している。

今は習い事が何でも用意されていて、むしろ習い事をいくつも経験しないと一人前の子にならないのではないかしら?と不安に思う親御さんも多いだろう。

私も子供の頃にピアノだの水泳だのあらゆる習い事を経験させてもらった方だが、今に残るスキルとして意味があったと思えるのは当時の自分が勝手に遊んでいた「内職」、唯一それである。

少なくとも、「勝手に遊べる人」になれる余白のような時間や空間を、子どもたちには残しておくべきである。