自覚をもたらす方法

「平和ボケ」ということばがあるように、平穏で守られた生活が人間にとって幸せかというと、そうとも限らないだろうと思う。

私は最近のドラマや映画はほとんど見ないのだが、月2回千葉業務で宿泊する際、ローカルの千葉テレビで夜放送している『大岡越前』(TBS/MBS系)の再放送を必ず見ている。

初期シリーズなので1970年代の作品だ。主演の加藤剛さんが1938年生まれで戦争を経験された世代だということもあり、また片岡千恵蔵や大坂志郎といった昭和の名優が続々登場するが、戦争をくぐってきた世代の人たちの演技は、現代にはない鬼気せまる凄みを感じるのである。

戦争はあってはならないが、何かしらの困難を乗り越えた人間の方が、生きることに対しての切迫感、真実味をつかんでいるように思う。

これまでの数々の生徒を見ていても「可愛い子には旅をさせよ」という言葉の通り、様々な経験を重ねてきている子の方が生きることの豊かさや実感、自分が取り組むことに対しての当事者性を獲得しやすいように見える。

これから学校は春休みに入る。
せっかくの長期休暇である。親から離れて一人で遠出をして、自分で地図を調べて自分で考えて歩く。そういう困難で無茶な経験に時間を充てた方が、勉強も含めて芽出しにつながる。