小学生の教材10選

<スタートアップ編>

◎基本ドリル
連絡ファイルに「基本ドリル」と書いているのは、くもん出版の『川島隆太教授の脳を鍛える』シリーズである。足し算・引き算・掛け算・割り算の四則計算がランダムに配列され、「切り替え」の力と「注意力」を養うのに最適だ。一定の段階を超えると、私の方で全問〇×をつけずに誤答数だけ「-1」「-2」と伝えて、ミスを生徒自身に発見させることで「気づく力」を鍛える。見た目の易しさで本書を侮ってはならない。

<算数編>

◎くもんの小学ドリル
私自身、小学生の頃は公文の教室に通っていた。近年は基礎学習を嫌う世相があり、公文式に対してアンチな立場のご家庭も少なくないが、公文の教材は使い方次第である。プリント10枚を同じ種類の計算ばかり解かされるから生徒が嫌になるのであって、市販の『くもんの小学ドリル』であれば複数学年の複数冊を同時に購入してしまい、そこからランダムに引き抜くことで反復練習による「引き出し力」が養われる。ノートを使用する前段階の教材とも言えよう。<正確>で<スピーディ>な計算力は算数・数学の土台であり、応用力の大前提である。

◎計算トレーニング
『新演習』は塾教材のレジェンド的存在。ハイレベルな進学塾は『新演習』を導入していることが多い。その発行元であるエデュケーショナルネットワーク(EN)。首都圏・北海道・宮城・京都で展開する学習塾「栄光ゼミナール」の関連会社で情報力に定評がある。本書には混合問題が4頁おきに設置され、「3歩進んで2歩下がる」のローラーで足元を踏み固める反復練習に最適。公文の書き込み式教材を卒業した生徒にとって、ノートの使い方を知るためにも役立つ。

◎栄光ワーク
連絡ファイルに「ワーク」と書いてあったら『栄光ワーク』のこと。こちらも栄光ゼミナールのENが発行する定番の塾用教材。2020年の教科書改訂で難度が増したが、やはり鉄板の安定感がある。教科書準拠の教材であるが、今回の改訂で高度化し、この教材を1ページ目から学校の進度に合わせて全問生徒に触れさせるのは「やった気」「分かった気」にさせるだけでしかないリスクを伴う。実力を培うためには反復練習が必須であり、指導者の腕が試される教材といえよう。

◎ほーぷ
塾教材会社の大手三本指に入る「育伸社」。どこの学習塾でも塾内テストといえば大半が育伸社のもの。育伸社のベストセラー小学教材が『ほーぷ』だが、近年の育伸社の教材は使い勝手が悪く、私自身が使いながらイライラしてくることが多い。

問題のレベルは比較的易しいが、ページの割り振りであったり、ちょっとした文言の記載の仕方にセンスがない。「human interface=人間工学的視点」の欠如があり、良識ある学習塾は育伸社の教材を導入しなくなるのではないか。

<国語編>

◎ろんりde国語
ひと昔前に出口汪先生の『論理エンジン』が流行った時期があったが、私としては踏ん切りがつかず、導入を見送ったことがあった。「論理」の教材探しの旅を続けて、ようやく出会ったのが『ろんり』シリーズである。京都の都麦出版。良識のかたまりのような出版社だが、近年の『う〇こドリル』に引きずられて「う〇こ」ネタが設問に散見されるのが玉にキズである。今の時代、そんなに「う〇こ」の話題で小学生のモチベーションが上がるとも思えない。大人のミスリードではないか、とも思う。それはさておき、指示語や接続語、言葉の置き換えなど、論理の基礎を学ばせる良書が登場したことは素直に喜びたい。

◎読解はかせ
こちらも都麦出版。「緊張するとオシッコしたくなるのはなぜ?」のように小学生が興味を持ちそうな話題を「基礎編」「上・下編」「社会編」で収録している。「好きな子を見ると赤くなるのはなぜ?」と微笑ましい話題も多い。科学的内容からSDGsに関連する話題も収録している。また、字数指定の抜き出しから自由記述へと問題レベルが上がっていくので、「こんな教材簡単だ」と当初馬鹿にしていたら、いつの間にか<茹でガエル>状態で読解問題の熱湯に浸けられるという良書である。先ほどの『栄光ワーク』の準拠教材が体質的に合わない生徒にも最適である。

◎栄光ワーク確認テスト
『栄光ワーク』に付属してくる小冊子。裏面に教科書準拠の漢字問題を収録。

<パズル編>

◎宮本算数教室の賢くなるパズル
「数独」の前段階として「3×3」マスから「4×4マス」まで数独形式のパズル。男子小学生にとっては<気分転換>と<気分高揚>が得られる。

◎ニコリの数独
視覚認知と短期記憶を鍛える、それでいて楽しい。完成させるまで終えることが出来ず、逃げ道を絶たれる。

<まとめ>
これらの他にも使用教材はあるが、とりあえず10本を挙げてみた。

2020年、本年の小学教科書改訂により学校の授業内容が高度化して「落ちこぼれ」が激増するリスクを私は強く感じている。コロナの影響もあり矢継ぎ早に授業が進み、成績上位3分の1の生徒にとっては価値ある刺激になるが、その他3分の2の生徒は「溺れる」であろう。

今年は私にとっても様々な小学教材を試行錯誤する一年となったが、結局のところ「1年後にその生徒に何が残っているか」「3年後にその生徒の何に役立っているか」という観点を忘れないことが重要だ。教科書の進度に心を煩わされることなく「読み(読解)・書き(漢字)・計算(整数・小数・分数の四則混合)」の三本柱を確実にすることは絶対にブレてはいけない線であることを改めて強く実感している。

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