■アクセス
JR京都線のJR総持寺駅から1.34km、徒歩17分。または阪急茨木市駅から近鉄バスが1時間に3~4本出ている。朝夕が15分、日中が20分間隔。中学・高校・大学を含めた輸送となるので、基本的にはJR総持寺駅からの徒歩がメインとなるだろう。
颯爽と現れる三角形の大学校舎。

中学・高校校舎は大学校舎に隣接している。
■歴史
明治21年(1888)大阪鎮台司令官であった高島鞆之助中将により、大阪偕行社附属小学校が創設されたのがルーツ。
高島鞆之助といえば薩摩藩士で、西郷隆盛の子分のような存在。ある日、西郷と高島が大久保利通の屋敷を訪問した際、カステラを出されたが大久保と意見が食い違ったため西郷と高島はカステラに手を出さなかった。その後、西郷と高島が大久保の屋敷を出ると、西郷が「鞆(とも)どん、やっぱりあのカステラをもらってこないか」とカステラを取りに高島を大久保邸に向かわせた話。
(出典:「西郷どんの逸話」西郷隆盛公奉賛会)
その「鞆どん」が作ったのが、後の追手門学院である。富国強兵のため、軍人により作られた学校だ。
■学校法人追手門学院
◎追手門学院大学(茨木市)
◎追手門学院中学・高校(茨木市)
◎追手門学院大手前中学・高校(中央区)
◎追手門学院小学校(中央区)
◎追手門学院幼稚園(豊中市)
■中学入試の志願者数は右肩上がり
募集定員80名に対して、志願者数は右肩上がりで増加中。
2021年→129名
2022年→158名
2023年→212名
2024年→272名
2025年→292名
■高校入試も定員超過
2025年度入試では募集定員350名に対して、入学者数が503名となり、13クラス編成で校舎は満杯。
中学校からの内部進学は52名で入学者のうち10%程度。
■進路
2025年春卒業生440名の内訳
◎4年制大学394名
◎大学校1
◎短大1
◎専門学校6
◎就職(公務員)2
◎留学5
◎進学未定31
4年制大学394名の内訳
◎総合型選抜30
◎指定校推薦82
◎公募制推薦97
◎一般型選抜153
◎追手門学院大(内部推薦)32
■新しい教育
画一的な工業型教育から、個々を見守る農業型教育への転換を図っている。
中1-2は中間・期末考査を実施せず、単元テストで定着をみる。宿題は全員に同一の範囲・内容を出さず、個々の状況を踏まえている。
■校舎
2019年に完成した新校舎「スマートパレット」。
エントランスを入ると図書コーナー。本校には図書館がなく、各フロアのあちらこちらに図書が設置され、生徒がいつでも自由に本に触れるようにしている。また、各教室はブドウの房のようにクラスター状に配置され、それらを結ぶのはキャナルという共有スペース。つまり廊下という概念がない。キャナルの一角にはティーチャーステーションという小さな職員スペースがあり、壁のない職員室といった方が分かり易いかもしれない。
1階にはアトリエゼロといって、演劇部やダンス部が活動できる大規模なスタジオがある。旧表現・コミュニケーションコースの名残り。
■感想
新しい時代の学校とは何か、ソフト面(教育内容)とハード面(校舎)の両方で模索をされている。それらの斬新さが現代の保護者の関心を集めているのかもしれない。
私が認識している限りでは、新しいオープンスクール型の学校建築は1995年の千葉市立打瀬小学校が最初ではなかったか、と思う。
本校舎は類設計室が手掛けた。
私が気になったのは
◎教室と共有スペースの間に壁がなく、全面可動式のスライドドアになっている。また、2教室が背中合わせに配置され、この教室間も全面スライドドアになっているので、両教室、共有スペースとの間で音が筒抜けになっている。いずれかが賑やかな状態になった場合、他方は集中が保てるのかどうか。
◎その全面可動式のスライドドアは大半がガラス面で、共有スペースから教室内が丸見えになっている。言い換えれば教室から共有スペースが丸見えのため、やはり落ち着かないのではないか?
◎ティーチャーステーションが共有スペース(キャナル)の一角に設けられている。共有スペースとの仕切りがなく、教職員以外でもフルアクセス出来てしまう。生徒に壁を感じさせない効果がある一方、性悪説で見れば盗難が発生しやすいのではないか、先生方は果たして仕事しやすいのか?と思ってしまった(教職員のデスクは基本的に固定しないフリーアドレスとのこと)
◎図書館がなく、校内のいたるところに図書を配置することで、生徒が自由に図書に触れることを目論んでいるが、いざ目当ての本を探したい時に探すのが大変ではないか?と思ってしまった。ホコリを被りやすくなったり、保管の問題も起こるような気がした。
・・・打瀬小学校の開校から30年が経過し、このオープンスクール型の学校建築がどれだけ普及したか、といえばそれほどでもなかったように思う。つまりそこに「理想」と「現実」のギャップが見え隠れしている。
本校はどちらかといえば大人しく上品なタイプの生徒が多いため、本校舎の運用も上手くいっているのかもしれない。最終的には在校生と保護者の満足度の問題なので、外野の人間がとやかく言うものでもないが、ソフト面とハード面の両面において運用がどうなっているのか、もう少しリサーチしたいと思う。
■余談
本校を出て、JR総持寺駅に向かって歩く。ひたすら暑い。
途中気になる建物が・・・
◎資生堂ホネケーキ
・・・「骨ケーキ」ではなくて「HONEY CAKE(はちみつの塊)」を意味するらしい。

◎疣水(いぼみず)神社
・・・イボが治るとのこと。参拝。

(2025年9月10日訪問)



