大阪桐蔭中学校・高等学校(大東市)

JR学研都市線の住道駅南口を出て5分弱歩くと、大阪産業大学の屋根付きバスターミナルがある。そこからシャトルバスで15分。大阪産業大学に到着する。

問題はバス乗り場から大阪桐蔭まで徒歩10分近く掛かることであり、本校を訪れる際は時間に充分な余裕を持たせることが必要である。

大阪桐蔭といえば、2020年の東大+京大合格者ランキングでは大阪星光(36名)を抜いて41名の合格という、北野(111名)、天王寺(80名)に次ぐ、大阪府内の私立高校としてはトップの合格者数を出している。まあ、母数の問題があるので合格者数だけで一概に高校の優劣を評価できないのだが、昭和の「モーレツ」な雰囲気を今に残す、ガッツのある学校である。

もともと大阪産業大学には城東区に附属高校があるが、生徒の急増に伴い昭和58年(1983)に附属高校の分校が大学に隣接して設置されたのが大阪桐蔭の起源である。

「しっかり勉強させる学校」ということで、公立中高の3045時間に対して大阪桐蔭は中高で5160時間の授業を確保する。当然、土曜日も昼休みを挟んで14時半の5限まで授業を行い、基礎基本の習得に時間を掛ける

早朝テスト、終礼テストのように小テストもこまめに行い、英単語テストは問題集を3周実施する。繰り返しテストすることで細かなミスも摘み取り、細かなミスは所詮実力不足が原因であるから、その原因を力ずくで潰していく。

自習室は平日6時半から20時(中学生は19時)まで開放されており、日曜も8時45分から17時半まで利用可能。分からないことがあれば、先生が質問対応に応じる。

クラブ活動は60~70%の加入率で、出来るだけ入部するように推奨している。「部活を出来るだけやって人間関係を作れ」と。「部活をしないのであれば、自習室で勉強をしてから帰れ」と声掛けをしている。

硬式野球、ラグビー、吹奏楽など全国レベルの有名部活を多数抱え、各クラブの指導は専門の監督・コーチ陣が当たっている。「全国から生徒を集めている大阪桐蔭」と揶揄されることが多いが、むしろ胸を張って「全国から優秀な生徒を勧誘している」とのこと。部活動において実績をもたらす生徒の大学進学率もまた、ほぼ100%であるという。

学習合宿などの学校行事では、生徒に本物を体験させるべく本格的な料理を提供したり、高2の北海道研修ではヒルトンホテル・プリンスホテルといった高級ホテルに宿泊させることで生徒の常識・社会性を培う。中学校の夏期研修では小豆島、姫路など行った先で解剖などの理科の実験漬けにさせ、中3・高1では野球部の甲子園応援に全員で出向く。

実際、甲子園に出場した年の大学合格実績が高く、普段学内でいつも通りに肩を並べて勉強したり食堂で食事をしている仲間や先輩がプロ野球選手の卵になるわけだから、甲子園の出場が大阪桐蔭の多くの生徒にとって大学進学へのモチベーションに繋がるという、そういった好循環が随所で行われている印象だ。

中3では全員10日間、カナダへの研修旅行がある。

新型コロナウイルス感染症対策として、1基90万円のサーマルカメラを2基導入して生徒を随時検温。全ての教室にオゾン発生器を設置したことで、通常のインフルエンザの罹患者が減った効果も出ている。

文部科学省の大学入試改革においても、実践すべきことは改革前から本校で既に導入していることばかりで、英語4技能のGTECも2009年には他校に先駆けて導入。ベネッセのオンライン英会話も既に導入していたため、今回の休校期間中のZoomによるオンライン授業にもすんなりと対応出来た。

尚、オンライン英会話は単なる日常会話ではなく、学識のある先生を選抜して入試に通用する英会話を実施。その他医学研究病院の実習、着付け体験、ロボット、チアダンスといったジャンルにとらわれないプロジェクトワークを生徒に体験させて刺激を常に与えている。

進学は、スポーツ系の3類を除いて高3の約6割が国公立大に進学しており、伸び率の高さをアピールしたいと本校では考えている。「昔はスパルタのイメージで見られていたが、今の大阪桐蔭は人間力をどれだけ伸ばせるかで勝負をしている」と。一般的に「まず大阪星光だよね」といった古くからのイメージを覆したいと考えている。

中学入試ではL特別で英語のインタビューテストを行い、英検準2級の2次試験に相当する内容(10分)を予定している。プレテストは本番よりも難度をやや高くしている。

2021年1月18日午後に実施予定のS特別入試では、近鉄高の原駅から大阪桐蔭までの直通バスを運行するということで、高の原駅といえば、東大寺学園の最寄駅。東大寺学園の受験生をごっそりさらっていこうとする、大阪桐蔭のパワフルな機動力には舌を巻いてしまう。

学校法人というよりも「株式会社大阪桐蔭」と言っても良いような、攻めの剛腕で生徒を集めて、教育し、次なる進路に押し出していくという、これはこれで一つの学校の在り方であると思った。

(7月10日訪問)

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