地域性が出題に反映される

Now,there are a lot of vacant houses in the countryside.So it isn’t expensive to buy or rent one.

さすが大阪の問題だな、と思わず笑ってしまった中3模試の長文読解。ざっと流れはこんなストーリーである。

—(ここから)

大阪市の中学校に通うカナダ出身のJohnが、クラスメイトのMayaに写真を見せていたら、そこにHara先生がやってきた。

Mr.Hara: 何見ているの?

Maya: Johnのカナダの家の写真を見ているんです!

Mr.Hara: そうか。見せて。

John: どうぞ!

Mr.Hara: 森に囲まれた木造の家か・・・。いい所に住んでいるな!

Maya: 私も将来住みたいな~

John: 田舎暮らししたいの?

Maya: 家族とよくキャンプに行くからね。自然のなかで生活するのが夢なんだ。もちろんお父さんからは「キャンプと田舎暮らしは別物だぞ」って言われるけどね。

John: まあ、そうだよね。どちらの気持ちも分かるけど。僕も田舎は好きだけど、大阪の街中で暮らすのは便利だよな。あと、田舎暮らしだと仕事を探すのが大変なんだ。お父さんも言ってた・・・「田舎は都会ほど仕事が多くないぞ」って。

Mr.Hara: なるほどな。先月テレビを見ていたら、たくさんの人たちが田舎暮らしを楽しんでいるって話題を放送していたよ。

Maya: その人たちはどうやって生活していました?

Mr.Hara: 例えば彼らはセカンドハウスを持っていて、都会で仕事して、週末はセカンドハウスで過ごすんだ。実際、田舎にはたくさん空き家があるしね。だから買っても借りても高くないんだよ。

John: そりゃいいですね~。

Maya: 将来たくさんの種類の生活の仕方があるのね。セカンドハウスは選択肢のひとつになるわ~

—(ここまで)

何てことのない普通の会話だが、

Now,there are a lot of vacant houses in the countryside.So it isn’t expensive to buy or rent one.

という、心斎橋か難波あたりの商売人のおじさんが会話していそうな話題がそのまま問題文になってしまうのは、さすが大阪。こういう話題は首都圏の試験問題では見ることがないな、と商人(あきんど)の町大阪としての地域性を感じてしまった。

ちなみに、
この本文では「仕事は少ないが自然が豊かな田舎暮らし」と「ゴミゴミしているけれども仕事もあり大変便利な大阪の街」を対比させており、それは大阪市の特性を改めてあぶり出しているということで、その地域固有の課題が問題文に反映されているという近年の入試傾向そのものである。

なぜこういう話を書くかというと、
東京の開成中学の入試問題で「大江戸線」という地下鉄についての出題があった、と。そしてそれは、東京に住んでいるからこそ、その実体験をもって初めて解答できる問題になっている。全国から全国共通の問題を練習して入試を受けようとする者には歯が立たないというわけだ。

ということは、
これからの受験勉強は、単に頭でっかちで知識や解答の技術を身につけるだけでなく、「その土地で暮らす」「暮らしている土地を知る」という基本的な生活体験がなされてきたか?ということが問われるようになる。

堺筋線って何で茶色なの?
それは相互乗り入れしている阪急電車のマルーン(色の名前)に近づけているからだよ。
谷町線って何で紫色なの?
それは谷町筋に多くのお寺があって、お坊さんが身にまとう袈裟(けさ)が紫色だからだよ。

興味があるかないかは兎も角、
「自分が住む土地の景色を見て生活しているか?」という、受験勉強では見落とされがちであった当たり前の生活体験をきちんと見直そうという流れに入試そのものが変化している。

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