簿記3級を受験してみた

第152回日商簿記の3級を受けてみよう、ということで思い立ったのが5月3日。試験が6月10日。ほぼ1カ月ということで、普段塾の先生をしていると「先生目線」が当たり前になってしまって、実際に試験を受ける側の「苦労の実感」というものが薄くなっていたりする。

そんな訳で、効率的かつ効果的な勉強法、あとは旧・神尾塾、新・KJ LABでの指導方法の検証も含めて、まずは大阪商工会議所に受験申込。神社本庁の神職資格は国家資格ではないが、資格の取得はそれ以来なので内心ヒヤヒヤである。

それにしてもこれまで塾の会計も弥生会計のソフトに頼りっきりで、「借方」「貸方」そのものがさっぱり分からない。そんな程度のレベルからの開始。

教材はよせだあつこさんのパブロフ流簿記の3級テキストと問題集の2冊を購入。あとはスマホにパブロフ流の3級対策アプリをDL。電卓は教材内で推奨の「SHARP EL-G37」を奮発して6千円で購入。

とにかく「借方」「貸方」がさっぱり理解出来ないから、テキストは最初諦めてご飯を食べながらYoutubeで簿記関係の解説動画をいろいろ見る。最も役立ったのは米国公認会計士でもあるAtsueigoの簿記関係の動画。このAtsueigoの簿記関係動画は全部見た。やはり優秀な人の頭は理路整然。分かり易い。

あとは電車に乗るたびにパブロフ流アプリで仕訳の練習。これに尽きる。天王寺から東梅田まで地下鉄に乗る間にLEVEL2を絶対に解き終えるように習熟するぞ!と自分の中で目標を立て、ひたすら手を動かす。大阪に移転してから電車に乗る機会が圧倒的に増えたので、電車に乗る時間は本当に貴重。決まった区間の毎日の乗車は、それ自体がタイマーの役割を果たす

アプリで新しい単元に進むと同時に、家にいる時はテキストで一単元ずつアプリで解いた新出事項を確認。一気にテキストを進めても頭に入らない(眠くなる)ので、実戦問題を進めながら、理論を後づけしていく形。以前の塾通信でたびたび取り上げてきた「見テ知リソ、知リテナ見ソ」の実践である。

大事なことは、分からなけれは分からないなりに理屈を理解しようとせず、実戦問題に慣れてしまうことだ。「習うより慣れよ」は正しい。慣れた頃に理屈が追い付いてくる。どうしても分からないことは、そこで手の止まる時間を浪費せずに一度飛ばしてからまた戻ればよい

そんなこんなで単元を進めていき、検定前の一週間で問題集を使用して残高試算表、財務諸表などの総合問題練習。メモ用紙に仕訳を書いて電卓でひたすら計算。今思うと1週間で到底足りる練習期間ではなかったが、仕事をしながらで四六時中簿記の勉強をしているわけにはいかないので、勉強は集中力と「取るぞ」というガッツが基本だろう。

それと、一度解けただけで安心してはならない!一度解いて正解したら、1時間後、3時間後、3日後、5日後と、間をあけて解けて初めて意味をなす時間を空けた反復練習で引き出しの力(瞬発力)がつくことも、学生の受験勉強や中間・期末テスト勉強と全く同じ。

検定前日はある出来事があって「もう駄目だ」と不貞腐れて酒を飲んでしまった。集中力が切れるようなことがあっては本当に駄目。周囲の環境も平穏無事であることが必須。

検定当日、会場となる寺田町の興国高校へ。スリッパ持参で自分が試験を受ける感覚、久しぶりだなあと感慨にふけりながら検定開始。開始10分で退出が許可されるが、意外と退出者が多いことに驚いた。開始30分もしないうちに2人、3人・・・と教室から消えていく。

合格した人は制限時間ギリギリの最後まで粘った人だろう。最後まで諦めない気持ち、最後の1分1秒まで生かし尽くしてやろうという、これは精神論の話だが実際そうだ。時間ギリギリまで検算をして、完璧な答案を目指す意気込みが大切なことを再確認。あと、自己採点用に問題用紙に自分の解答を書いておくのは、よほど余裕があればよいが(または解答を導く過程でメモが出来ればそれに越したことは無いが)、そんなことをするよりも答案の精度を高めることに最後の1秒まで使った方がよいと思った。試験中に「自己採点のための」準備をしても、落ちていたら意味がない。

という訳で、先日結果が届いて70点ボーダーのところを88点で無事合格。合格率は60%程度の模様。