裁く勿れ

『人を裁く勿(なか)れ』(新約聖書・マタイ伝より)

つい、「あの人はああだ」「この人はこうだ」と、他人を批評の目で見てしまいがちだ。これを「人を裁く」という。

人の振り見て我が振り直せ、で他人の言葉や行動を他山の石として自分の戒めにするならばよいが、最近の話題で言えば「復興大臣はとんでもない」とか他人の批評に走ったり欠点をあげつらって、その他人がつぶれるまで徹底的に追い込む、という風に日本人は悪趣味の方向に流れていないだろうか。

マタイ伝の言葉には先がある。

『しからば汝らも裁かれざらん』

「そんなことをしたら、あなたも裁かれるのだよ。」と言っている。つまり、人を裁いて、人から裁かれて、の繰り返しが循環して、永遠にループしてしまうのだ。宗教用語ではこれを「カルマ(因果律=原因と結果の法則)」という。

自分を見つめすぎると疲れてしまうが、あまり他人のことに干渉しすぎるのも、健康的ではないだろう。