—(引用ここから)
人間ができているかどうかはその人の体験の差による。
倒産、浪人、大病、放蕩、戦争など、並はずれた体験が人間への洞察力を養う。
平和時に英雄は出ない。「仕事ができる人の心得」(小山昇・著、CCCメディアハウス)
—(引用ここまで)
思いやりの有る・無しはその人の生まれ持った資質もあるだろうが、一方で人生経験がモノをいう部分でもある。人生経験を重ねて、ひねくれてしまうパターンもあるかもしれないが、基本的には経験を重ねることで目の前の出来事を「わがごと」として捉える共感力が育つので、思いやりの感情もそういう所から生まれる。年取ると涙もろくなるのは、自分の歴史のどこかの場面と目の前の出来事をシンクロさせてしまうからで、やはりそういうことばかり積み重ねてしまうとそれはそれで重荷になってしまうので、人間が不死身でないということは大切なことなのかもしれない。
先日のピエール瀧の逮捕も「ならぬことはならぬ」なのだけど、今は事を起こした人を寄ってたかって叩く、という風習が日本人の中にあるような気がして、一度事を起こすと過去のすべての言動まで引きずり出されて叩かれる材料にされるという恐ろしい状況でもある。
瀧さんなりにこれまで見たことのない世界を瀧さん自身これから見ていくのだろうが、それこそ「Life is a Voyage」で、非人道的な経験は避けたいけれども、他人の経験、自分の経験というものを受容する、肯定するというところが「人間」として大切なのではないか、と思うのだ。