「うちの子は勉強ができなくて」・・・これは非定量的な話である。300人中の290番台をウロウロしているから「できない」のか、その人の中に学年上位10位以内に入ることが出来る条件だという思考があって、11位にいるから「できない」という認識なのか。このようにその人の価値観によって「できない」の基準は異なるので、その人の中でそう思っているだけなら良いが、下手をするとこの思考を子どもに押し付けてしまうことがあるから厄介だ。
「うちの子は勉強が出来ないんですよ」・・・どれどれ、と面談で成績表を見てみると、例えば290位が260位に上昇していたとする。「いや、すごいじゃないですか。30位も上がっていますよ」と私が言うと、そのお母さんは学年上位でないと駄目だという価値観があるから、290位でも260位でも駄目なものは駄目だ、となる。そこでとばっちりを受けてしまうのは当の子どもの方で、「頑張っても評価してもらえない」となってしまう。
これ、今書いたのは実例ではなく思いついた例であるが、実際に上記の思考で子どもの伸びを見逃している親御さんは意外と多いように思う。もちろん、普段近くにいる人の良いところは見えにくいものなので(鎌ヶ谷に住んでいると鎌ヶ谷の良さを実感しにくい、といったことも同様だ)、私自身も近くにいる人間ほどその美点を見逃しているのかもしれない。
さて、テストで得点が上がった下がったと喜んだり悲しんだりするのは、これまた非定量的であって、得点というのは平均点によってその価値が異なってくるから、だからこそ平均点を50という指標に置き換えた偏差値であったり、校内テストならば学年順位というものを気にする方がよほど定量的なものの見方だと言えるだろう。