修身教授録の骨子から

今週からの作文講座で森信三先生の『修身教授録』を扱うが、この中で、

—(ここから)

◎人間の知恵(P.134)
人間の知恵というものは、自分で自分の問題に気付いて、自らこれを解決するところにあるのです 。教育とは、そういう知恵を身に付けた人間をつくることです。

◎自己を形づくる支柱(P.134)
人間は自ら気付き、自ら克服した事柄のみが、自己を形づくる支柱となるのです。単に受身的に聞いたことは、壁土ほどの価値もありません。

—(ここまで)

の2項目。
この辺はやはり、教育の根幹というか、指導側にとって何を意識して生徒と接しないといけないか、という最も大きなポイントであろうと思う。通常の授業でも講習でも、目の前のその生徒にどういう価値が与えられるのか、事前・事後で生徒にどのような「自力」が芽生えるのか、ということを意識せずに、ただあれを与えてこれを飲ませてと、指導側だけの自己満足にはまってはならないのである。

表現方法は異なるが、語っている真髄は同じだよね、というのが葦原先生のこの話。

「教育は、子供達が人生上で出逢う様々な問題を、自分自身で解決していくことができるようになるための、手助けをするものでなくてはなりません」

・・・究極、ここだ。数学の因数分解にしてもルートの計算にしても、英語の三単現であっても、上記を身につけるためのツールに過ぎないことを忘れてはならない。

さて、森信三先生から葦原先生に話題が移ってしまったが、2年前に亡くなられた葦原先生の生前のお話のメモがとても沁みるので、以下に抜粋してみる。

—(ここから)

◎「分かっている」人は他の誰かの人生の選択を強制しない。

◎自分自身での選択が重要。どちらにしても自分の魂の成長につながる。

◎自分の先生は他人から与えられるものではなく、自分で見つけなければならない。

◎失敗しても成長になる。

◎選択することを恐れる必要は無い。

◎選択を自分で決めること。その結果成長すること。

◎必要の無いことは一切起こらない。起きた出来事から気がつくかつかないか。

◎どんなことが起きてもネガティブな感情は不要。
→「何であんなことをしてしまったのか=×」「反省する=○」

◎自分が注意(意識)を向けないでしたことは意味を成さない。(※気持ちの入っていない仕事に意味・価値はない、ということ)

◎自分の内側から引き出した答えしか腑に落ちないし、その人にとっての本当の答えにならない。それでないと、他人から色々と言われて迷ってしまう。

◎全ての答えは自分の内側にある。自分の知っている答えは、本来の意識から来たもの。

◎課題が生じたら、自分の内側にクエスチョンを出す。すると、友人の何気ない一言であったり、答えが必ず出てくる。

◎自分が幸せでないと、他人を幸せにできない。自分が幸せであれば、他人を幸せにする。

◎一見よくないこと、トラブルが起こったとしても、むしろその程度で済んだ、と思うべき。もっとひどいことになっていた場合が多い。

◎他人のやり方は参考になるけれども、自分の方法を自分で見つけなければならない。道は常に示されている。他にあるのではないかと探すのではなく、自分の目の前にあることを誠実に行っていくことが最も近道。

◎自由意志による選択。その結果で学んでいるのがこの世の中。AかBかの選択をする時に、どちらを選ぶかは重要ではない。選んだものが最善となるように努力することが大切。

◎人間が間違いを起こさないのは無理。

◎一つのことを為し遂げようとすると、そこには必ず協力が発生する。

◎全てのことが、理由があって起きている。

◎(日々の料理のように)同じことをしていても、常に進歩がなければならない。これが宇宙の法則。常に以前よりも新しいこと、創造的であること。

◎模倣には命もエネルギーも宿らない。
→千利休と古田織部の関係。利休の他の弟子は、みな利休の模倣でしかなかった。しかし、ある時点ではオリジナルに変化していかなければならない。織部はオリジナルに取り組んでいたため、利休は織部を後継者とした。

◎機会の一つひとつを大切にする。

◎心が調和した状態で正しい判断をすることが大切。では、どうするか。自分の中心に戻れる手段を知っておくことが大切。例えば、朝起きてコーヒーを飲む、またはおいしいものを食べるなど。それから仕事を始める。

◎同じものに対して、新しいものを感じた時、自分の内面が変化したことが分かる。これが自分の進化の判断基準。例えば、長年の友人に、新しい側面を発見した時など。

◎自分の中で、常に別の解釈を見つけようとすること。肯定的に見る取り組み。

◎自分が何となく発した言葉が相手に大きな影響を与えることがある。

◎不必要なことを話すと、エネルギーの浪費になる。1日のうち1時間でも良いから「沈黙の行」も大切。私たちは日常の中で不必要なことにエネルギーを使いすぎている。無駄を省いていくと、ここ一番の時に集中してエネルギーを使える。

◎実践のない知識は金の持ち腐れで役に立たない。

◎実際に活動する中で、知恵を身につけていく。

◎否定的な現象が生じたら、ゴミ掃除をしていると考える。そうして軽くなっていく。

◎人間は、自分が経験したもの以外は想像がつかない。

—(ここまで)

以上。