この国の行く末

国立新美術館で開催されている安藤忠雄展は本日まで。結局行けなかった・・・。

建築学生だったころ、大阪・京都・神戸・淡路・東京・千葉と各地の安藤建築を嬉々としながら歩き回った。今のような「大御所」の立ち位置になる前の安藤建築は、ひと言で「アバンギャルド」。特に1980年代から90年代前半にかけての、前衛的な、刺激的な、カオスな、幾何学でいて迷路のような森をコンクリート打ち放しで仕上げていくという、私はその構成美のとりこになった。

「建築はある意味においてスキャンダラスでなければならない」
「精神的にショックを受けてもらえる」
「問題の捉え方が根源的である」

出典がどこだったかは忘れたが、これらは私のメモ帳に書いてある安藤の名言。

「1ミリの違いにこだわるかどうか、それが一流と二流の違いやね」
みたいな言葉も、私の記憶でしかないが強く印象に残っている。

コンクリートの打ち放しは打設(型枠にコンクリートを流し込む)時にすき間を作らず、乾燥後もクラック(ひび割れ)を起こしてはならないのだが、安藤が設計した建物でそれが起こった。安藤が「壊してやり直してくれ」と現場に言っても施工業者は頑として受け付けない。

「お前たちが壊さないなら俺が壊す」と安藤は深夜現場に出掛けていって、ハンマーで失敗したコンクリートを叩き壊し、その後業者も再び打設せざるを得なくなった。

熱いよね。

さて、BSフジで放送された対論番組がインターネットで配信されている。

「安藤忠雄の対論~この国の行く末」

それぞれの対論者のグローバルな視野の広さとエネルギッシュな活動力には脱帽する。
同時に、安藤を含めて彼らの根底に強い「志(こころざし)」があること。ここを見逃してはならない。

小泉進次郎の「店でどの野菜・果物を選ぶか、消費者の一回一回の選択がこの国の明日の農林水産業を形づくる」という話もまた、印象的であった。