続・熊本地震

再び、熊本市上通(かみとおり)。創作ダイニングの村山さんを訪ねる。ちょうどアルバイトの熊本大学の学生2人と今後の打ち合わせをしていたところで、「部外者なのにホントすみません(私)」とか言いながら「まあいいから座って(村山さん)」ということで話に加わらせてもらった。

今思えば、熊大の学生さんにもう少し気の利いたこと話せばよかったなとか後悔しているのだが、2人とも3年生で、一方の女の子の方はちょうど4/14の前震(震度6弱)の時に店内におり、あの揺れをどうしても思い出してしまい、ここに居るのが怖い、と語る。揺れの現場に居なかった私としては「建物が無事でよかったじゃないですか」と呑気なことを言っているが、村山さんは村山さんで、「もしまたあの揺れが襲って来た時に、どうやってフロアのお客さんを守れるのか、自信がない」と。

熊本市内でも、営業が再開しているのは大手チェーンなどの資本力の強い企業や、比較的被害の軽かった店舗のみで、村山さんのような個人経営のお店は軒並み再開にたどりつけていない。資金繰りの問題、また設備・什器の復旧に業者を呼ぼうとしても、現地で業者そのものの手が回らない状態。首都圏ではすっかり熊本地震は過去の出来事のようになりつつあるが、現地では深刻な「どうやって食べていくか」の問題にさらされている人々であふれている。

では写真の説明。

岩永商店
熊本市中心部、TBS系列のRKK熊本放送というテレビ・ラジオ局の裏側にある市電の線路沿いの一軒家。1階が平行四辺形に傾いて、隣の建物が無かったらそのまま倒壊していただろう。もちろん「危険」の赤紙が貼られている。熊本はこれまで大きな地震が起きなかった分、こういった風情のある古建築がそのまま残っている場所が多い。今回の地震でこのようなレトロの建物が被害を受けてしまったことは大変残念。そして悲劇的なのは、向かって右隣の「岩永商店」が寄りかかっている鉄筋コンクリート製の建物も一見頑丈そうだが、「危険」の赤紙が。当然ビルは真っ暗で、中の住人は別の場所へ避難しているのだろう。

危険
これが「赤紙」。熊本市建築指導課が地震の直後に市内を巡回して、建物の安全性について応急判定を出しているのだ。

下敷きになった自動車
「あんたがたどこさ」の洗馬橋(せんばばし)の近く、加藤清正が作った城下町「新町」がある。この新町こそレトロな木造建築が多く、その倒壊した建物のひとつ。駐車場に建物がかぶさり、自動車が下敷きになった。地震から1ヶ月を経て、街中ではこういった光景が手付かずのまま残されている。

和菓子店と災害ゴミ
車をつぶした建物の隣の和菓子屋さん。通電しているため外照灯はついているが、地震の直後で住人が避難して、電気のスイッチを消せないままでいるということだろう。当然「赤紙」だし、その前にいわゆる災害ゴミが積まれている。ここに限らず、マンションでも一戸建てでも入口はゴミの山になっていることが多い。処理が追いつかないのだ。

マンションと赤紙
その和菓子屋さんの向かいの鉄筋コンクリートのマンション。「赤紙」が小さく見えるだろう。この建物も亀裂が入ったり、致命的なダメージを受けているということだ。しかし、だからどうしろというのだ。住人としては、ひとまずはここに住み続けるしかない。再び大きな揺れが来たらどうするか、という不安と日夜戦いながら…。

熊本大神宮
「熊本市内の今の様子です」とよくNHKの映像で流れる中心市街地の通町筋(とおりちょうすじ)から、熊本城へ真っ直ぐ進むと、石垣の下に熊本大神宮がある。石垣の上にあった櫓(やぐら)が倒壊したため、石垣とともに社殿も押しつぶされた。合掌したあと写真撮影をさせていただいた私の横で、女性が涙を流して呆然とそれを眺めていた。

熊本城の石垣
城の周りはこういった光景ばかり。

熊本城天守閣
左が天守閣。屋根瓦が剥がれ落ち、右側も屋根部分がスカスカになっている。首都圏に在住する人間としては、街のシンボルや郷土愛を自分の住む街に感じることは少ないと思う。ところが熊本のような地方都市は、自分の住む県に対する愛着が強く、その意味で熊本城は地域のシンボルだけでなく気持ちの上での大黒柱のような存在であったので、そういった大切なものが今回の地震で破壊されたことによる「挫折感」は半端でない、という感覚はやはり首都圏在住者としては理解が及ばないところだろう。

熊本空港そのものが甚大な被害を受けた益城町にあり、益城町を抜けて熊本市内に入るということで、2度の震度7の震源となった益城町役場に隣接する国道443号線を通過した。車道はアスファルトが敷き直されているが、周囲の街並みは崩壊し、電柱もあらゆる向きに串刺しのようになっている。災害などなければ環境のよい住みやすい土地だったろうと思うのだが、地震の激しい揺れで建物が一度地上に飛び上がり、着地の際に斜めに土地に突き刺さる、という印象の倒壊のしかたは、全国各地でいつどこで、同様な災害が再現しかねないという、ならばどのように予防策を講じるかという喫緊の課題を私たちに突きつけられていることは間違いの無いことだ。

まずは3日分の水・食料の確保(避難所に行けば食べ物が必ずある訳ではない)。水タンク(給水時に使える)、軍手、携帯電話の簡易充電器(情報の確保が命!)。トイレットペーパーの備蓄。女性は簡易トイレ。ウエットティッシュも用意。室内は不要なものを片付ける。物が落ちたり飛んできたりしても大丈夫かシュミレーション。食器棚の中身が崩れないように。

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kamiojuku