学校が消えていく

先週のニュースより。


「学校法人千葉国際が倒産」

学校法人千葉国際(資産の総額12億円、千葉県君津市)は、5月7日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請した。当法人は、1964年(昭和39年)9月に設立された学校法人で、私立千葉国際高等学校および私立千葉国際中学校の経営を手がけていた。当法人の施設は、本校舎を中心に体育館、食堂、学生寮、運動場などを設けていた。従前から取り組んできた国際教育に加え、近年は進路指導に注力。スポーツ活動も盛んで、プロ野球やサッカーJリーグの選手を輩出するなど、生徒数はそれぞれ私立千葉国際高等学校が400名超、私立千葉国際中学校は100名超を数え、2013年3月期には年収入高約8億8000万円を計上していた。

この間、入学者数は堅調に推移していたものの、減価償却等を中心とする固定費を吸収できず、赤字計上が続いていた。加えて、過去の設備投資にともなう借り入れ負担が重荷となるなか、今回の措置となった。負債は約30億円。

(帝国データバンク 5月12日(月)18時13分配信分より抜粋)

本件に関しては、少子化の影響というよりもむしろ経営の問題と言えそうだが、これからは少子化の影響をまともに受けて、経営破たんする私立学校がどんどん出てくることだろう。

一昨年の末に経営破たんした鴨川市の文理開成高校のように、支援者が現れて学校運営が継続されればまだ良いものの、これからは破たんした時点で校務がストップしてしまう学校も出てくるはずだ。(千葉国際は破たん後も授業は継続されている)

各学校ともに「少子化の影響を受けない今の内に…」ということで校舎の改築ラッシュが進んでいるが、これが今後校舎を改築できない経済状況になっていくどころか、過去の設備投資が学校の首を絞めていくのである。会社がつぶれて従業員が路頭に迷うだけでなく、学校がつぶれて生徒が路頭に迷うことになるのは、何としても避けたい。

そんな中、今週、さいたま市の小松原高校から学校説明会の案内が送られてきた。いよいよ来年度から、現校地の南浦和から越谷レイクタウンに移転する。それと同時に、校名は「叡明(えいめい)高校」と改称し、情報科を除く自動車科・機械科を廃止して共学の進学校へと衣替えする。(小松原女子は移転をしないが、浦和麗明高校と改称する)

このようにして、全日制私立の進学校化(純化)がますます進んでいく。小松原高校へはかつて塾生が数名入学していたが、「君は小松原の機械科でボイラーとか資格を取ったりして自信をつけながら高校生活を送るのがいいんじゃないかな?」と、いった指導がこれからは出来なくなる。

進学校化をしないと生徒も集まらないし、学校としては生き残れない。しかし、状況は多様化と真逆の方向に進んでいるので、それぞれの独特な個性をもったタイプの生徒の行き場所がますます失われつつある。

どうしたものか。