小学生は兎にも角にも計算力を身につけよう。計算と漢字の読み書きさえ完璧にしておけば鬼に金棒だ。もちろん、算数ならば教科書に出てくる「単位量あたりの大きさ」などの各項目を学習するのも悪くはないが、大前提は計算力の養成だ。漢字に関しては一言添えておくと、筆順を大切にしたい。筆順は小中学生のうちにしか習得できない。ある程度の学力がある中学生でも、例えば「口」という字をぐるっと一筆書きで書いていたりして、見ているこちらは愕然とするのだが、筆順がいい加減だと大人になってから恥ずかしい思いをすることになる。
さて、公立中学校へ進む予定の小学生の塾生には市販のくもん式ドリルを複数学年分購入し、そこからランダムに抜き取りながら宿題として出題している。ここに、ひとつのコツがある。
一例を挙げてみよう。現在小学5年生で計算が苦手な生徒がいたとする。これには過去学年にさかのぼって「2年のたし算」「2年のひき算」「3年のたし算・ひき算」「3年のかけ算」「3年のわり算」、これで計5分冊を購入する。そして、各分冊の中から同じ枚数ずつを引き抜き、「たし算→かけ算→ひき算→わり算→たし算→…」のようにランダムに並べる。また、並べたプリントの難易度がバラバラになるようにすることが大切だ。つまり、同じ種類・レベルの問題が続くとつまらない。簡単な問題ばかりでもつまらない。面倒な問題と易しすぎる問題、普通のレベルの問題をランダムに混ぜて配置する。手旗信号の「赤上げて、白下げないで青下げる」といった、いたずらっぽい構成にすることが大切なのだ。
これは、子供に何かを学習させるというよりも、大人から見て「飽きない」問題構成を心がけることが大事で、大人が同じことをされて「飽きる」と感じるものは、子供も絶対に「飽きる」のだから、そういうことを子供にさせてはならない。少なくとも、1ページ目から順に解かせていくのは愚の骨頂であり、そんなつまらないことをしてはいけない。この種の問題選びは指導者の職人技の領域でもあるかもしれないが、極力家庭でも真似が出来ることと思う。