R君

R君は昨年の4月から指導を開始した。彼は事情により小6から中3まで不登校が続いていた。指導開始時は中3になっていたが、勉強面はほとんど手付かずの状態で、算数のたし算・ひき算(小2-3)、九九、英語はアルファベットの書き順から始めることになった。小6で勉強を止めた場合、小6の学力が維持されるのではなく、時間の経過と共に学力が退化していくことがよく分かった。

5月か6月だったかR君に「行きたくない」という気持ちが生じ、私は船橋市内の自宅まで迎えに行った。ここで大人が筋を通さねば、彼の殻からの脱出が総崩れになってしまうと考えたからである。

当初は慎重に慎重に、私自身もおっかなびっくりでR君に過大なストレスを与えないことを気にしながら、まずは夏を乗り越えようとした。R君は元々地頭が良く、学習の吸収が速い。学校に通学していれば、相当学年順位も高かっただろうと思う。くもん式の小学ドリルを終え、中1、中2、次第に波に乗るように学力が上回ってきた。

限られた塾の授業時間の中で、小学校から中学校3年間までの取戻しをすることは容易ではない。出来るだけ無駄をせぬよう、最短距離で各分野のエッセンスを学習させることに集中した。もちろん、R君自身の先天的な学力、そしてまさに『踏ん張り』『努力』こそが相乗効果となってメキメキと上昇していったように思う。

R君の表情、動きも次第に軽くなったように見受けられた。私にとっても大きなやりがいをR君の指導に見出すことが出来た。次はどこまでいけるのか、私自身がワクワクの日々であったといえる。

ご家庭の「どうにかしたい」「なんとかしたい」という必死さと熱い想い、R君自身の「がんばり」と「地道な努力」、私もメンタル面、学習面双方に力を注いだ。この三者間連携があってこそだったと思う。少なくとも数学・英語については県立入試問題を平均点以上にこなせる段階までこぎつけ、ある高校に無事合格した。

R君のお母様から頂いたメールを紹介させてもらう。(お母様の許可済)

ものすごく、大した事ではないのすが…神尾先生に聞いて頂きたくメールをさせて頂きました。

昨日の朝食時に、何気ない会話から勉強の話しが出たのですが、そしたらRが突然「もっと早く勉強しとけば良かった。もっと勉強が出来るようになりたかった。勉強って出来ないよりは出来るにこした事は無い。頭が良くて損はないよね。今までは思った事が無かったけど、今は凄くそう思う」「神尾先生と出会ったからじゃない?」と私の言葉に、Rは「そうだよ」と。

Rの口からそんな言葉が出るなんて大変びっくりしました。嬉しくてたまりませんでした。「まだ遅くないよ。これからでも取り戻せるよ」そう答えるのが精一杯でした。

この9ヶ月の間で、Rは驚くほど変わりました。人間が失いかけた自信を取り戻す、また自信を持つというのは凄く大事。大きな事なんだなと、改めて感じました。

すみません、それだけの事だったのですが、嬉しくて神尾先生に聞いて欲しかったのです。Rが不登校になってから、他の方が聞いたら、そんなことと思うような事でも、ちょっとした言葉や行動が、私には嬉しくてたまらない事なのです。有り難うございます。

神尾先生と出会えた事に心から感謝しております。Rが光る素質を持っていたのであれば、それを引き出して下さったのは、紛れもなく神尾先生です。Rや我が家のように、先が見えずに自信を失い、もがき苦しんでいる生徒さんや親御さんはたくさんいると思われます。どうぞ、神尾先生の力で、一人でも多くの方を救ってあげて下さい。

良い事も、悪い事も(Rの不登校)も人生の中で決して無駄な事ではなかったのかもしれない。と最近ちょっと思えるようになりました。

今日は、R君についてありのままを記したいと思い、私自身の手前味噌とは思いながらも掲載させていただいた。

R君は、年齢以上に精神面が成熟しており、何かの不具合があって不登校になったわけではなく、学校と波長が合わなかっただけだ、と私は初めてR君の顔を見た時に感じた。「成熟」、実はこのキーワードを抱えながら、現実面での処理が上手くいかず学校生活を苦しんでいる塾生が数名いる。その子自身をクローズアップして見れば宝の山なのだが、その分若年時の周囲との噛み合いに苦労を抱えていたりする。

私は、他の大手塾、他の学習塾に出来ない仕事を神尾塾でしたいと考えている。大手塾や他塾、学校の中で埋もれてしまった子、でもその中に光輝く原石を持っている子は確実にいるので、そういう子と一人でも多く出会い、その子を引き出すための、助力になる塾でありたいと熱望している。

R君の未来が私は楽しみでならない。

この記事を書いた人

kamiojuku