現在、中2生を中心に冬期練成ゼミなる自習用課題を使用している。他塾では冬期講習のメインテキストとして、1日1単元ずつ授業していく使われ方をしているが、私としては大体3ヶ月の使用期間を見込んで期限を指定して「出来るところから解いていきなさい」と指示している。内容はほとんどがこれまでの復習になっている。
薄い冊子とはいえ、通常の塾の宿題も同時並行しながらの作業であるので、なかなかハードではある。しかし、本当に「出来るところから」解いて行けばよいのであって、例えば30秒考えて分からない問題は、どんどん飛ばして先に進んでいけばよいのだ。また、調べるものも出来る限り調べればよいのであって、100%全問埋めることを私は期待しているのではない。
つまり、取捨選択する能力をここで身につけて欲しいのである。また、時間効率を考える力もこの作業を通して身につけてほしいと願っている。例えば入試問題において、1番、2番と解けて、3番で分からなくなってジッと数分無駄にしてしまったとしても、解けない物は解けないのだ。ならば解けるものから解いて行けばいいし、そういう訓練を積んで『全体として徐々に掘り下げていく』ということが、この冬期練成ゼミを自習課題としている目的なのである。
適宜私がチェックをするのだが、一人ひとりそれぞれの学力に応じて「出来る問題を着手していない」「気持ちが散漫になっている」ということは冊子の進み具合や文字の筆圧を見ていればよく分かる。そこで「これ、まだ出来るよね?」「これ、調べ足りないよね?」と、指摘を入れていって、自力での掘り下げを期待していくのである。
塾としては教える一方ではなく、自転車の補助輪のような、自分の足で独り立ちするためのサポートをしていくべきなのが塾だと思う。一連の作業が一生モノの底力になっていくのは間違いない。
あと、どのような場合でも「出来る限りの努力をする」というクセをつけることは大事なことで、周囲の人間は結局のところ、そういう所をチェックポイントとして人物評価したりしていくのである。逆に怠けていれば、人生上それなりの恩恵しかないよ、ということでもある。
自助努力を出来る限り引き出し、その上で私が時々潤滑油のようにヒントを与えていく、そしてその生徒に困難な問題については「トットと」説明をし、そのページを終わらせていく。そんなことを繰り返し、作業リズムを速めていく。そして、先述したように「徐々に全体を掘り下げて」基本的な学力を底上げしていく。自助努力を引き出し、取捨選択する力、そして効率を上げていく。こういう狙いが自習課題にあるということだ。