M・Hさん

3月31日(土曜日)の午後、私が一人で教室で事務をしていたら、ひとりの若い女性が教室に入ってきた。
「失礼します・・」「はい、(ん?誰だ?)」「Mです・・・」「おーー言われてみれば確かにMさん!」

学生というよりも全く大人の社会人の雰囲気で、美しく成長したM・Hさんがそこにいた。約3年ぶりの対面である。
船橋の中山学園高校を卒業したことを報告に来てくれたのだ。

「神尾先生のおかげで今日を迎えることができました」

・・・泣いている。私も、思わず泣いた。

3年という月日は、こうも一人の生徒を大人の女性に変えてしまうのか、と驚嘆すると共に、
神尾塾に入塾した4年前からの日々が走馬灯のように頭を駆けめぐった。

授業時間よりも早くに神社に着いてしまって(当時は神社のなかに教室があったから)、自転車置き場でひとりポツンと時間を過ごしていた後姿を思い起こす。
生真面目なゆえに、他の同年齢の生徒よりも精神的に成熟してしまっているために、心身ともに悩み、不登校を選択をした彼女であった。

鎧のように身につけていた黒縁の眼鏡も、今はもうない。

「ワールドというアパレルの会社に正社員で就職が決まりました。4月2日が入社式で、配属は新浦安です」

M・Hさんは中山学園で服飾デザインを専攻し、高校への求人で就職につなげた。
本人も今日までよく頑張ったが、三雲校長を始めとして中山学園の先生方の一人ひとりに向き合い、輝ける人生へ向かって助走させる指導姿勢には本当に頭が下がった。

「来年、1月か2月にまた必ずおいで。ご飯でも食べよう」

「はい!必ず来ます!!」

神尾塾の原点を、M・Hさんは教えてくれた。