最大公約数と最小公倍数

高校数学Aでは「ユークリッドの互除法」を用いて最大公約数を求める問題が出てくる。

例えば、128と72の最大公約数

 128=72×1+56
 72=56×1+16
 56=16×3+8
 16=8×2+0

で、最大公約数「8」となる。

慣れないうちは小学生のように割り算を逆さにした記号を用いて

 2 )128 72
 2 )64 36
 2 )32 18
    16 9

2×2×2=「8」

と書きたくなってしまうが、数が大きくなると「ユークリッドの互除法」の方が楽である。

さて、本題は互除法ではなくて、最大公約数と最小公倍数にも人生訓が含まれているという話。

Aさんは「128」の性格を持っている
Bさんは「72」の性格を持っている

Aさんの要素を分解すると「2×2×2×2×2×2×2(=128)」
Bさんの要素を分解すると「2×2×2×3×3(=72)」

Aさんは「3」を持ち合わせていないから
Bさんが持つ「3」を理解することができない。

Bさんは「3」を持っているが
Aさんが「3」を持っていないことを理解することができない。

言い換えようか。

Bさんはアニメに夢中になっているが
Aさんはアニメに夢中になる要素がないからBさんの趣味を理解できない。

そう。
異なる個人が異なる要素をもってこの世に生を受けた以上、人間同士が本当にすべてを理解し合うことは無理だと、この現象が教えてくれるのだ。

でも、
AさんもBさんも「2を3つずつ」持っているよね、共通点だよね、ということで理解し合える部分もある。それが<最大公約数>である

そして、
AさんとBさんがそれぞれ持っている「2×2×2」
Aさんだけが持っている「2×2×2×2」
Bさんだけが持っている「3×3」

これらを合わせると「2×2×2×2×2×2×2×3×3」となって「1152」になるのが<最小公倍数>。
「128」でも「72」でもない、新しい生命の誕生と言ってよい。

三人寄れば文殊の知恵というが、人が集まればまたその分の新たな要素が加わって多様性がひろがっていく。構成する要素がそれぞれ個性を放ちながらも、個性を認めてそれを包み込む大きなテントであること、それが社会のあり方だと教えてくれる。

以上は別になんてことのない話であるし、生徒の前でこんな理屈っぽい話はしないが、数学の単元ひとつ取り出しても、じっくり煮込んだおでんのように、滋味が深く染みているのである。

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