考える力と処理速度

この議論はとても興味深い。

先日、オンラインで某校の学校説明会を視聴していたら「今は激動の時代で、従来の方法が通用しない。大きな転換期に来ている」と。

確かにそうだな、と思う反面、この言葉を悪用すると「従来の方法は通用しないのだから、地道に反復しながら基礎学習することは避けよう」に繋げることもできる。

近年は思考力だの、探究力だの、そういった比較的新しいキーワードが人気だが、考えることばかりに時間を使いすぎて仕事の処理が追い付かないのも、実社会においては「口先ばかり、頭でっかちなだけの役立たず」でしかない。

同じ単元のドリルを延々と解かせるのも正しくないし、生徒が教室で探究の議論ばかりしているのも正しくない。要はどちらも大事であって、そのバランスを目指すことが最も重要なのである。

考える力を養う中で処理速度も鍛え、処理速度を鍛える訓練をする中で考える力も養わなければならない。そういう教材の使い方を教師こそが探究しなければならないのだ。

「コロナが怖い怖い」ばかり言っているのも正しくないし、一方でコロナを軽視する論調も私は賛同できない。

相反する意見に耳を傾けながらも、その中間地点を自分のなかで探っていく。つまり、中道であり中庸。そのバランス感覚が、この頃の日本人はかなり鈍ってきているように思う。