100点満点の数学答案

ちょっと前になるが、U・J君(中3)の1学期末テストの数学答案

学年平均64点のところ、100点満点
2年次は平均点を下回るテストもあったというのに。

▼「学校の成績」(P.467)
たしかに学校の成績というようなものは、その人の実力を、そのまま示すものではないとも言えましょう。しかしその人の忠実さ、その人の努力、さらに申せば、その人がいかほどまで、自分のなすべき当面の仕事をなし得る人間か否かということは、かなりな程度まで、これを示すと言ってよいようです。

ですから私は、学校の成績というものは世間でふつうに考えているように、必ずしもその人の素質を確実に窺い得るものとは思いません。それよりもむしろ、その人の素質と努力との相乗積を示すと考えた方がよかろうと思うのです。

そこでこのことからして、素質としてはかなり優秀でありながら、試験を軽蔑しているために悪い成績をとる人が少なくないわけです。つまりそういう人は、試験は人間の才能をそのまま示すものでない、という一面のみにこだわって、試験がその人の努力と誠実さを示すものだという、他のより大事な一面を看過しているわけです。これすなわち、なまじいなる才知がかえって自らつまずくというものです。

▼百二十点主義に立つ(P.474)
常に自己の力をありったけ出して、もうひと伸(お)し、もうひと伸しと努力を積み上げていくんです。そこで真面目とは、その努力において、常に「百二十点主義」に立つということです。

『修身教授録』(森信三・著、致知出版社)