心の傷を癒すということ

1995年1月17日、私は東京深川の自宅にいた。ちょうど入試の日で、普段からラジオにタイマーをかけて目覚ましにしていたから、地震発生直後の速報はいまだに強烈な記憶として覚えている。

その年は3月20日に地下鉄サリン事件もあり、それは私の卒業式の日でもあったので1995年が私の記憶から消えることはないだろう。

先日、たまたま深夜につけたテレビで放送していたドラマ。私はめったにドラマを見ないが、この作品だけは没頭して見てしまった。

NHKの土曜ドラマ再放送『心の傷を癒すということ』。阪神淡路大震災の被災者に次々に起こる苦悩を描きながら、精神科医である主人公が寄り添っていく。主人公は震災直後から手記を新聞に発表して、それをまとめた書籍が文芸賞を受賞した直後、主人公に癌が見つかり、39歳で命を閉じた。

確かに30年前は「精神科=近づいてはいけない領域」のような感覚が一般大衆にあったような気がする。そういった分断された壁のようなものを徐々に取り除き、今の時代においては比較的メンタルクリニックに足を踏み入れやすくなったのは、主人公の安先生のような先人のおかげでしかない。

ひとりの人間の想いと活動、何と貴いことかと思いながら全4回を見てしまった。NHKプラスで今週末まで視聴可能なので、おすすめします。

https://www.nhk.jp/p/ts/V3J6VN6JQX/

当塾についての詳細な情報はこちらをご覧ください。