逆手の法

2010年の1月から3月にかけて、NHKスペシャル「MEGAQUAKE 巨大地震」というのが放送されて、それから1年後にその映像を現実化するような形で3.11東日本大震災が発生した。

2019年の1月から3月にかけて、NHKのよるドラで「ゾンビが来たから人生見つめ直した件」というのが放送されて、ちょうど1年経った今になって、新型コロナウイルス感染症への恐怖で過ごしている人間のひとりとしては、別にウイルスとゾンビを結び付ける意図は一切無いが、何となく昨年のこのドラマを思い浮かべてしまう。

今度は東アフリカでバッタが大量発生しているという。日本にとっても他人事ではない、食料危機というコロナウイルスの次の脅威が始まっているのかもしれない。

ところで、

丸山応挙(江戸時代中期~後期の絵師)の有名な話だが、応挙はある日知り合いの料亭に行った。ところが亭主はすこぶる心配気なので尋ねたところ、近頃、稼業が不振になり立ち行かないため閉店の相談中であるとの話。そこで応挙は「よろしい俺に考えがある」と言って立ち帰り、間もなく見事な女の幽霊絵を描き上げ持って来て、早速床の間へ掛けさせた。亭主は驚いて「営業挽回に陽気なめでたい画でも描いてくれそうなものを、これはあまりにもひどい」と言うと、応挙は「マーマー黙って結果を見ろ」と言った。ところが応挙の言う通り、幽霊の絵が評判となり、以前にも増して繁昌したとのこと。物事は、陽極まれば陰に変じ、陰極まれば陽に転ずるという理(ことわり)を応挙は知って、逆手(ぎゃくて)を打ったのであろう。

『逆手の法』(岡田茂吉・昭和24年)

陽極まれば陰に変じ、陰極まれば陽に転ずるという道理。

常に「逆」を考えておくことが大切で、世の中であれば「平穏が極まれば危機に転じる」とも読み替えられるのだ。

学校も部活動もいきなりしばらく休みになった。
休みになったこの一週間、意味のある一週間を過ごせただろうか?

この、学校が完全に休みになる、という「危機」は、自分のために自分の成長につながる自分のしたいことが何でも出来る「楽園」と化す。

勉強も、勉強以外のことも含めて、自分への種まきが出来ているか?自分で何かが出来ているか?

それが今出来ているかどうかで、将来の成否は既に決まっていると言えるだろう。未来は未来にならないと分からないものではなく、今いる自分の姿そのもの延長線上にあるものが未来の自分である。