ひとつの教材をしつこく

要諦28:戦略の内容の良し悪しよりも、トップが組織末端での実行をしつこくフォローするかどうかのほうが結果に大きな影響がある。

『V字回復の経営』(三枝匡・著、日本経済新聞出版社)~P.266より

大手建設機械メーカー子会社の再建の実録。事業再生のプロである実業家、三枝匡(さえぐさ ただし)氏によるシリーズ92万部を突破したベストセラー。

売上が低迷し、従業員のモチベーションも下がりに下がった会社の症状をあぶり出し、組織を再構築して従業員の心に火をつけながら企業を再生させていく手法は、学習塾で低成績の生徒を立て直していく具体的なノウハウにそのまま直結する。

先程の「要諦28」は、学習塾でいうならば以下に置き換えられるだろう。

【教材の内容の良し悪しよりも、先生が生徒の教材の取り組みの実行をしつこくフォローするかどうかの方が結果に大きな影響がある】

学習塾は大手をはじめ「教材を生徒(保護者)に買ってもらいたい」という意識があるので、一冊でも多くの教材を売りたい性(サガ)がどうしてもある。学校だって通常のワーク・問題集だけでも充分なのに、受験期になれば「まとめ教材買いますか」「問題集買いますか」と教科書業者が出版する教材を任意でも買わせようとしてくる。

そんなこんなで学校でも塾でも買わされた教材で家の中があふれているのに、生徒本人はその購入した量に比例せず成績が上がらない。何故かといえば「教材の実行をしつこくフォロー」しなければ成績は上がらないからである。当塾では宿題や確認テスト(CT=Check Test)を<再・9回目><再・10回目>と繰り返し実施することがあるが、それが何を意味するかはここまでの話を読めば明らかだろう。

目移りして色々な教材を中途半端に渡り歩くよりも、ひとつの教材を徹底的に練習し、その教材からいつでも何の問題が出題されても解ける状態にしておけば、それが「力をつける」ことになる。