日大とその付属校の仕組み

日本大学の学部学生数は全16学部で約7万人。これは日本一の多さであり、第2位の早稲田大学(約5万人)、第3位の立命館大学(約4万人)を大きく引き離している。

日大の公表データによると、学部・大学院・付属中高など日本大学と名前のつく関連校すべての学生数は11万6千人。ここに教職員数をあわせると約12万人が日本大学の関係者として現役で通学・勤務しているということになる。ざっと日本人の1000人に一人は日大関係者ということだ。

今回、アメリカンフットボールの悪質タックル事件を発端に日大の組織構造についてのテレビ報道が連日されてきたが「日大は終わった」とか「組織が腐っている」という印象を一般の人々は持っただろう。しかし、そもそも日大は規模が大きすぎるので、大学も実際には文理学部・理工学部・法学部など、それぞれの学部ごとに一つの完結したカレッジ(単科大学)を形成しているコンパクトな組織の集まりに過ぎない。よほど活発なサークルを除けば、学部同士の交流もさほど旺盛ではない。

仮に松戸歯学部で事故が起きたとして、それは生物資源科学部の人間には何ら関係のない、実感もない遠い世界の話でしかないのだ。キャンパスも首都圏を中心に学部ごとに分散している。あくまで日本大学という冠が名前についているだけで、よくありがちな「日大は」と部外者が単純化して扱うことは決して適切ではない。

そういう組織だからこそ、何かトラブルが起こっても、その細かい組織の単位で処理して解消し、全学を挙げて本部主導で何かを解決するという機動力が働きにくい面もあるだろう。各学部・付属校がそれぞれ自立しすぎているからこそ、本部が政治屋の巣窟のようになってしまったとも言える。

しかしまあ、来年は大学もそうだが、この「ひとくくり」の世間的な見方によって、日大付属校はどこも志願者を減らすだろう。今回のアメフト事件に対する日大本部の対応は論外であるが、受験生にとって「日大だから全て危険だ」ということでも当然ながらない。

さて、鎌ヶ谷から近い日大付属校の話を書いておこう。
日大の付属校には大きく分けて「正付属」「特別付属」「準付属」の3種類がある。

「正付属」は学校法人日本大学が設置する付属校。護国寺の日大豊山中学・高校はその一つ。日大習志野高校も同様で、こちらは理工学部の併設校となっている。
「特別付属」は法人が異なり、千葉日(ちばにち)とよく呼んでいる千葉日大第一小・中・高というのは学校法人日本大学第一学園が設置する学校である。
「準付属」は日大と契約を結んでいる学校法人による学校。最近でいえば目黒にある日出学園(市川の日出学園とは無関係)が設置する日出中学・高校が2019年から日大と準付属契約を結んで目黒日大としてリニューアルする。フランチャイズのようなものだ。昨年までデイリーヤマザキだったコンビニが、いつの間にかセブンイレブンに変わっていた、のような。

これらの付属はそれぞれ親藩・譜代大名・外様大名のような位置づけと考えれば良い。鎌ヶ谷近辺でいえば「千葉日大」と「日大習志野」はごく近い距離にはあるが、法人として全く異なる学校だということがわかる。付属校からの大学進学については千葉日大からの日大進学が大体5割強なのに対し、日大習志野からは大体3割程度。難度の高い付属校の方が、他大進学率も高かったりする。

文京区白山の京北高校が東洋大学の付属校になって東洋大学京北高校と校名変更してから志願者が増えたように、大学付属というブランド化はこれから私学の生き残り戦略のひとつとして活発になっていくだろう。電子マネーもnanaco、Suica、WAONといった陣営でブロック化されていくように、日大ブロック、東洋大ブロックといった大規模な学校群グループに集約されていくとなると、足立学園や駒込のような私立の単独校が難関大学を目指す進学校化を激化させていくのは生き残りの観点からも必然と思う。

話はややずれたが、
日大に通うメリットは、その規模の大きさから卒業生が全国・世界に散っているということだろう。「君、どこの大学?」「あ、日大です」「そうなんだ、学部は?」「経済です」「俺、国際関係学部だよ」のように、学部同士のつながりはさほど無い割には社会人になると「日大」というネーミングだけで連帯感を持ったりする。各地域や各企業で「桜門○○会(おうもん)」という組織があれば、それは日大のOB会である。

あと、日大の出発点は明治15年に設置された国の国家神道政策による「皇典講究所」に端を発する。ここで生まれたのが現在の日本大学と國學院大學で、両学は兄弟校といってよい。発祥地の飯田橋に行くと、日大と國學院大の連名の記念碑が建立されている。

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