範囲をしぼる

先日、書店で読みたい本をじっくり探していたのだが、
岩波文庫のコーナーで内村鑑三の「代表的日本人」を見つけた。手にとってみると「うわー難しそう・・・」と思って棚に戻してしまった。

しかし、この本は昨年夏の作文講座で題材にした本である。

ひとつ思ったのだが、ソクラテスとか福沢諭吉とかそういった類の本がたくさん並んでいる中の一冊として「代表的日本人」を見ると大変扱い辛そうに感じてしまう。しかし、例えばインターネットのAmazonで「代表的日本人」のページを見ると、面白そうだな、読めそうだな!という意欲がムクムクと湧き上がってくる。

この違いは何だろうか。

恐らく範囲をしぼった方が、他の項目に気持ちが削がれない分、自分自身の視野が狭まり、気持ちが追い込まれて「読まざるを得ない」「読んでやろうではないか」というモチベーションに繋がるのではないか。

勉強も同様である。
勉強が苦手な生徒に「アレもコレも」と求めたら、確実にその生徒は何をしたらよいか分からなくなり、道に迷う。

だからそういう時こそ大人の出番で、「まず最低限これを確実に」「出来たらここも手をつけてみる?」と優先順位をつける。【しぼる】ということがその生徒のモチベーションの喚起にもつながるのだ。

インターネットで本を購入することは、通販で便利だ、という物理的な利点だけでなく、ディスプレイが限定されている分「迷いようがない=気が他に移りづらい=対象をしぼりやすい」という利点が得られるということをこの日、知った。