石の上にも三年

「褒めると落ちる法則」というものがあるので、私は余程のことがない限り滅多に生徒を褒めないのだが、数日前に中3のTさんには「凄いね」と声を掛けた。

Tさんは勉強が得意、という方ではないが、こういう成績表を持ってきてくれた。
【学年順位:3科151位→83位、5科148位→99位(2年1学期→3年1学期中間、189人中)】

3科で2クラス分の68人抜き、5科で49人抜きだ。Tさんとしてはよく頑張ったと思うので、思わず「凄いね」と言ってしまったが、こういう時に「石の上にも3年」という言葉をしみじみ痛感する。塾に来て、ちょっと何かをして簡単に成績が上がるとか成果がどうだとか、そういうことは有り得ない。地道に時間をかけて一つひとつ問題を解決しながらジワジワと年数を掛けて力がつくもの。これが偽らざる「塾通いの意味」というものだ。(急速につけた力は落ちるのも早いが、じっくりつけた力に持続性があることは間違いない)

神社の中にあった神尾塾の旧教室時代を知っている生徒は今や5人になってしまったが、その一人がTさんであり、色々なことがあったけれども、めげずに淡々と継続していけばいつかは日の目を見るのだ。

神尾塾では目先の定期テストも大事だが、それ以上に高校入試を見据えた学力を養うことに時間と労力を注ぐため、数学と英語に重点を置いた授業構成になりやすい。「もっと5教科まんべんなく見て欲しい」という親御さんもおられるだろうが、結果が見えなければ意味がなく、ただ5教科を扱っただけで満足な気分になるだけというのも良くないので、【選択と集中】の考え方により、数学と英語を中心に取れる科目をしぼって注力することが多い。

Tさんにおいては定期テスト前に社会科の一問一答に限定してワークの練習を繰り返す、ということを開始してから社会科が平均点を超えるようになり、今では安定して平均点から10~20点を上乗せした得点が取れるようになっている。こうした時、戦略を立てることの重要性を改めて実感する。そして、今回の1学期中間テストで初めて英語が平均点を超えたのも私としては大注目ポイントであり、いずれにしても「石の上にも三年」そして「生徒に合った戦略を考え続けること」、「一度決めた取り組みを地道に根気強く続けること」の大切さを私自身学ばせてもらっている。