0.5秒の余韻

私が生徒と接する上で大切にしている心がけの一つに「0.5秒の余韻」というものがある。

それは、プリントであれ連絡ファイルであれ、何かモノを生徒に渡す時に、相手に渡してすぐさまこちらが手を離すのではなく、渡して尚0.5秒程度そのモノを持ち続けてから手を離すというものだ。つまり、生徒の机の上にプリントを置くときも、放り投げるように置いてすぐに手を離すのではなく、0.5秒程度机の上でそのプリントをつかんだままにする。これは、「あなたを大切に思っていますよ」という無言のメッセージを込める行為になる。

例えばお店でも、「この店員さん接客が出来ているな」と思わせる店員はこの「0.5秒の余韻」が出来ている。レシートを渡す際に両手をレシートに添えたまま、相手がレシートに触れても店員はしばらくそのレシートに触れたままになっているということだ。逆に、ポイとレシートを渡したらすぐに手を離して横を向くような店員もいる。こういう店員は接客不合格だなと思うし、そういう接客では一流とは言えないだろう。

塾で「この生徒はしっかりしているな」と思わせる生徒は、椅子を仕舞う時でも、両手で椅子を机の下に押し込む際に「0.5秒の余韻」で心を込めて仕舞っている。これは一事が万事で勉強に対しても投げやりでなく、一つ一つの取り組みに心を込めて誠実に向き合う心構え、ひいては成績の向上という所にも繋がっている。