今年は中3生のうち7名が受験して5名が前期合格。残り2名は後期選抜に臨む。
ひとつ断言出来るとすれば、神尾塾の指導を忠実に実行して勉強を続けていれば、前期で合格する。後期受験の2名については、今更ムチを打つつもりもないが、するべきタイミングでするべきことをしなかった、その積み重ねの必然の結果といえよう。
過去問の取り組みが甘い、理科・社会の確認テストの練習が出来ていない、などタイミングを外した行動が結果的に自身の境遇にはね返ってくる、ということを2名には願わくばこの機会に痛感してもらいたいのだ。
市販の教材を買ってきて自主的に勉強しなさい、なんてことは一言もいっていない。ただただ、塾の指導に対して誠実に、「強化と対策のA問題の確認テストをする」となれば満点が取れるように確実に練習する、そのために授業直前ではなく時間に余裕をもって着手する、そういったごく単純な「するべきことをする」積み重ねだけだ。
さて、前期選抜の問題を振り返りながら、来年以降(現1・2年生)の対策を考えてみよう。
【数学】神尾塾の授業では、「計算・角度・関数」の優先順位でまず何よりも計算力の万全化に力を入れている。前期選抜ならば計算で30点、そこに証明問題の記号問題が2~4点で偏差値40は確実に取れる。これがスポンジケーキの土台のようなもので、あとはそこに肉付けをしていく。(さんざん塾で計算を扱った挙句に模試等で計算問題の得点を落としているのは気の緩みでしかない)
角度は「平行線と角」「多角形」「円周角の定理」。単純に角度問題が出ればラッキーだが、それこそ角度問題は確実に取りたい。今回の前期選抜では証明問題に「円周角の定理」が織り込まれた。
そして関数。大問3は「2次関数」の出題だったが、中1の「比例・反比例」、中2の「1次関数」、中3の「2次関数」は復習を織り込んで継続的に設問に慣れておくべきだ。という訳で神尾塾で重視している「計算・角度・関数」が三本柱であることは今後も変わらないだろう。
あとはオマケで「統計」(中央値・メジアン)、大問5で知能検査のようなパターン問題が出てくるので、そこは今後も模試の過去問を授業に導入して、生徒に慣れさせていく。中学生の数学だけれども、今回大問2(3)が中学受験の「旅人算」であったり、大問5のパターン問題が高校数学の「数列」に馴染んでいると解きやすい、といった学年を縦断した、いわゆる「算数力・数学力」が試されるという、多少の勉強ではとても太刀打ちできる問題ではない。
大問2(4)の「確率」、大問3(3)の「関数」、大問5(2)(3)は、<地道に><冷静に>樹形図を書いたり式を展開させていく必要があり、医者や弁護士になる人間(人間コンピュータ)はこういう問題をスラスラ解くのだろうなあと、思わず遠目になってしまう。
【理科】中3生には「強化と対策」のA問題を最低限確実に解けるようにしなさい(覚えなさい)という指導を土台にしているが、本当にこれさえ出来なければ話にならないのが県立入試の理科。当たり前の知識・用語を答えて、その上で教科書の隅に書いてある記述が出題されるものだから、本当に気が抜けない。
そして、理科に関しては進研Vもぎ・総進Sもぎと比べて難度がワンランク・ツーランク上がっている。模試を受けて「こんなものだろう」と思って本番を受けたら痛い目に遭う。なので、まずは何が何でも、一問一答の用語は確実にしておくことだ。神尾塾は生徒の状況に合わせて、一問一答を万全にすることに留める生徒、その先の問題を上乗せする生徒、と学力に応じて加減している。
今回の大問4は「圧力」の計算、大問9は「オームの法則」の計算。昨年の中3向けの夏期講習でいずれも特訓した単元だが、こうした基本的な計算を夏期講習のようなしかるべきタイミングで確実に習得しておかないと、やはり「話にならない」。【タイミングを軽視する生徒に未来は無い】。
入塾してしばらくの授業はどうしても数学・英語が主体となってしまうので、よほど数学・英語が安定してきた生徒でない限り理科・社会に足を踏み込めないが、上位を目指す生徒にはいち早く数学・英語を安定化させて、理科・社会の様々な問題に慣れさせていきたい。
【社会】資料問題が多くなって、こう書いてはナンだが本当に憂鬱な気分だ。先述の数学と同じく、それこそ人間コンピュータ型の頭脳の人間がこういう問題を得意とするのだろう。
理科と同様に、基本的な用語を確実に覚えておくしかない。それでも今回大問4(4)で南蛮貿易・勘合貿易・朱印船貿易・中継貿易の選択問題が出題された。「中継!?」となった受験生が多かっただろう。日本が琉球を介して中国や東南アジアと貿易していた、という「中継貿易」だが、表舞台に出てきづらいこうした語句も県立入試では出題されてしまう。
その直後の(5)で島原・天草一揆についての記述問題。島原や天草の民衆がキリシタンの弾圧や重い年貢の取り立てに苦しめられて一揆を起こした、という文章を書かなければならないのだが、教科書や問題集でこうした設問に触れて練習することも必須だが、一方で幼少期から家族で旅行をしたら各地の資料館を訪れるなど、行った先で知的教養になる行動がその家庭でもともと出来ていたか?という所もこうした社会科の解答力に反映されるものだろう。
「あー、この問題は天草四郎メモリアルホールに行った時にジオラマと映像で見た場面だなあ。4万人も亡くなったんだよなあ」と私の場合はそんなことを思い出しながら脳の回路に刻まれているのを引っ張り出す。
ご両親が地理や歴史の得意なご家庭の子供は社会科に強い、という傾向は確実にある。反対に、ディズニーランドは行くけれども科学技術館に行ったことが無い、といったご家庭の子は「皇居?どこ、それ?」という反応。「西船橋から大手町まで何色の電車に乗った?」「えーと、赤かな…」「いやいや、東西線だから青だろ」といった頓珍漢なやり取りもあり得る。