指示待ち人間はなぜ生まれるのか

優秀な人の周りには指示待ち人間が多い。と言われてなるほどと思う。
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先日、たまたま見ていたTBS系「情熱大陸」で『スタッフがいつも指示待ちでなかなか自分の頭で考えようとしない』とボヤいていたのがノーベル賞受賞者で京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥教授。

振り返るに私が学習塾の運営ノウハウを最も学んだのはかつて講師として在籍していた都内の学習塾で、そこは塾長も滅多に来ず、せいぜい月に1回程度ゴミを回収に来るくらいで、現場責任者であるはずの上司?も大して仕事熱心でもなかったので、午後の定時に来て夜の授業を終えたら定時で帰る、というそんな状況だった。誰が一番大変だったかといえばその下のスタッフ達で、我々講師陣が生徒名簿を作成したり保護者との交渉、教材選定、進研テストの発送などなど金銭以外のあらゆる庶務をこなさなければ教室が成り立たなかった。

当時そのいい加減な塾に数年間勤務していたからこそ、今こうして神尾塾という独立した学習塾が営めているというのは間違いない事実だ。神尾塾の教務・運営はどこかのコンサルが入っているわけでも、経営セミナーで聞きかじった情報を取り入れている訳でも、フランチャイズのマニュアルをこなしている訳でもない。

かつて「こんなもんでいいのかな」と、誰に教えられた訳でもなく試行錯誤しながら積み重ねてきた独自のノウハウが現在ここにあるのみで、ということは、先ほどのいい加減な塾こそ有難い存在だったと言えることになる。また、後輩の指導者には「自分で積み上げたノウハウこそが最強だよ」と常々伝えている。

さて、生徒指導に当てはめて考えてみよう。先生がいい加減でまともに指導しなくなったら生徒が自分で危機を感じて自助努力をするようになるか、と言えばそれはそれでそうならないリスクも怖いが、時に応じて「一切指示しない」「勝手にしろ」という環境を演出することで、イマイチだった生徒がピリッと伸びてくることが起こり得るのは決して夢物語ではない。「至れり尽くせり」の環境を用意することが必ずしもその生徒を伸ばすとは限らないのだ。