【アクセス】
大阪メトロ谷町線の四天王寺前夕陽ヶ丘駅から徒歩3分。高校と短期大学がひとつのキャンパスにまとまっている。
【歴史】
1939年(昭和14)百貨店の大丸社長・里見純吉が堺に大丸洋裁研究所を設立。1942年(昭和17)に現在の大阪市天王寺区に移転、1943年(昭和18)戦時の要請で保健婦育成のための大阪女子厚生学園に改称。
1950年(昭和25)には大阪女子学園高校に改称、2005年(平成17)大阪夕陽丘学園に改称して、一部のコースが共学化された。2018年(平成30)に全コースの共学化が完了。
【不祥事】
2022年に発生した当時の校長の教職員に対する性的ハラスメントが今年の3月になって報道された。
https://news.yahoo.co.jp/articles/ef9c10e8c40faa944f3d5f0bfbc712c82f463581
【日野田直彦先生】
ということで、本校を立て直すため今年の4月に理事長・校長として着任されたのが日野田直彦理事長兼校長である。
日野田直彦先生のキャリアは馬渕教室から始まり、その後奈良学園登美ヶ丘中学・高校の立ち上げ、民間人校長として大阪府立箕面高校の校長、私学の立て直しとして東京の武蔵野女子学院(現:武蔵野大学中学・高校)、千代田女学園(現:千代田中学・高校)の再建で陣頭指揮を執られた。
2025年の2月に大阪夕陽丘学園から再建の打診が入り、4月には理事長兼校長として本校に着任された。
【リセットされたパンフレット】
2024年度までのパンフレットに比べて、2025年度のパンフレットは内容が一気に簡素化された。コースは「特進」「進学」「PBL(旧・国際英語)」「音楽・美術」の4コースに再編成。これまでのぜい肉を最小限までに削ぎ落し、日野田体制でカリキュラムを再構築するのだろう。2026年度から本格的に日野田体制が形になるはずだ。
【2025/6/18日野田直彦先生の講演メモ】
◎新任の先生にアクティブラーニングを求めない
→まずは講義の質を上げることが大切、守・破・離の順を守る
◎「How would you like to be remembered?」
→あなたは自分がどういう存在として覚えられたいか?
→先生自身が「自分の存在」を生徒に語れるか?
◎現小1が2050年に34歳になる、その時ナイジェリアは全ヨーロッパの人口を超えている
→そういう時代が来ることを考えているか?
◎大人が「ワクワクする」と言ったら、子どももワクワクする
→その反対も同様
◎今の子どもたちはDiscord(ディスコード)を使っている
→Discordユーザーの3分の1はナイジェリア人
◎日本人の国際感覚の薄さ
◎五ツ木模試の受験者、ピーク時は12万人、現在は4万3000人
→1986年~2023年で中学生は半減している
◎箕面高校
→府立高校はとにかく金がない、月の出張経費600円だった
→「骨太の英語事業」でさえ月5万しか予算が下りなかった
◎「KPI」「マインドセット」
◎日本人はプレゼンの最後に「ご清聴ありがとうございました」とするが、海外ではアウト
→海外ではその後にディスカッションになる
◎日本人の体質「いかがなものか」をやっていたら前に進めない
◎「子どもの心に火をつける+自立させる」のが先生の仕事
◎箕面高校→武蔵野(単年度赤字2億円、校長9年で5人も替わった、偏差値すらついていなかった)→千代田女学園、と再建してきた
◎大阪夕陽丘学園は3年で立て直す
◎日本人の傍観意識「お手並み拝見」ではなく、当事者として「手伝えや!」
◎ハーバード大学の入試「あなたは何の貢献ができますか?」
◎日本式教育でもバカロレアでもインターナショナルスクールでも、それぞれメリット・デメリットが存在する
◎先生を育成する(先生が自分の夢を語ることが大事)
→そこに生徒が共感することが大事(共感するから前進できる)
◎英語→想いがあれば伝わる
◎教育は貧富の格差を解消できる唯一の仕事
◎国公立大学の一般入試が崩壊しつつある(旧帝大も)
→大学を選択できる時代になった
◎「あなたはハーバードで何をしたいか?」→「勉強したい」では落とされる(勉強したい、は受け身でしかない)
◎一緒にワクワクしませんか?
◎日本は課題先進国(超少子高齢化など)
◎9月に再度(塾向け)説明会
◎関関同立を推薦・総合型で受けるのは無理(京大の落選組が来るので)
→同志社を一般受験できる力を持つ必要がある
◎瀧本哲史の本を読め
◎聴者が10人集まったら私が話に出向く
◎直近3年は校舎の改修が無理だと見ている(金がない)
◎制服から変える方向で
→小さなところから変えていく
【感想】
日野田先生の60分ノンストップの講演。メモせず聞くのはもったいない。KPIやマインドセットといったビジネス用語が学校の先生の口から聞こえてくるのは私は初めての体験。
情報と思考のシャワー。本校に興味があってもなくても、日野田先生の話を聞きに行くべきだ。少なくとも私は9月の説明会に再訪するつもりだ。
賢い人の話を聞くことは自分の成長にもつながる。日野田先生の肉声に触れることを私は塾生・保護者の方々に強く勧める。
本校は谷町筋の西側に位置して、傾斜のあるキャンパス内に建物が分散している。将来的に改築ということになれば、かなり面白い建築が出来るだろうし、立地も最高である。
今年と来年は従来の先生方との調和の問題もあり、少し混乱するのかもしれない。恐らく再来年あたりには良い形で日野田体制が安定して稼働されるものと私は勝手に推測している。
ただし、日野田先生もそう長く勤続されることはないとも思うので(次の再建先に向かわれるはず)向こう3~5年くらいを目安として大化けする学校になるかもしれない。憶測だが中学校の新設もあり得るかもしれない。大注目の学校になった。
※大阪夕陽丘学園・学校説明会情報
(2025年6月18日)

