宿題は作品づくり

生徒が解いてきた宿題を見ると、それがどの程度の「力」を出して仕上げたものであるか一目瞭然で分かる。料理や作品づくりと同じように、宿題も「品質」で語ることが出来る。

生徒が、どこまで自身のスキルの限界を引き出せるか。どこまで完成度、執念というものを宿題に込められるか。それによって生徒自身の今後の身の振り方が決定されると言って過言でない。いつであれ、どんな状況であれ、今の自分に出来る最大限のことを目の前のことに注ぎ込むことが非常に大切だと私は思う。

力を込めた度合い、手抜き度、あと何%自力で完成度を引き上げられるか。宿題を採点しながら、その生徒の根気、ガッツ、背景にあるもの、どういう心理状態であるかが手に取るように分かる。

全然自力を引き出していない手抜きの作品(宿題)も多い。この場合、自助努力が足りないということで授業時間を使っての「直し作業」を行うのだが、これはつくづく時間がもったいないと思う。よい品質の作品(宿題)が出来ていれば、必要なことを終えてサッサと帰宅出来るし、その浮いた時間が自分の好きなことに費やせるというものだ。

過去の例を見て、結果を出している生徒は「ここまで濃く宿題をしたのか!」と私が感嘆することが多い。こちらが指示しなくとも公式・定義などの必要事項を記入していたり、英語ならば全問全設問和訳したり単語調べをしていたりする。そういう生徒は私の信頼度も高まるし、ちょっとしたミスがあっても「まあ、いいよ、いつも頑張っているから気にしなくて大丈夫だよ」となる。これが人間の心情である。

これは中学・高校生だけの話なのか?否、大人の行う「仕事」に全く通用する話である。

宿題プリントは、授業が終わって「ハイ、おしまい」ではなく、例えば「直しノート」なるものを作り、そこで間違えた問題をノートに書き出し、反復練習する。中3ならば授業で取り組んでいる模試の過去問において同じことが出来る。

※授業では一回で出来た問題を「赤丸」、直した問題を「青丸」として区別をつけている。青丸問題をノートに洗い出していけばよい。