卒塾生からのアドバイス

8/22の塾通信で、卒塾生の木村瞭汰君からの寄稿を紹介した。また、同日には台風による風雨の強まった午前中の中3夏期講習に木村君が来塾し、大学受験の体験談、高校受験に向けてのアドバイスを約2時間に渡って詳細に話してもらった。

木村君の来塾時にも話したが、寄稿の中で大切だった部分はやはりここだろう。

—(抜粋ここから)
私は勉強に関しては「楽しんだもの勝ち」だと思います。確かに覚えることも多く、何のために勉強するのかわからないと思います。でも高校受験や大学受験を通過するのにそれが必要ならやるしかないと割り切るしかないです。もっぱら楽しいことをしていればいい、そんなに人生は甘くないと思います。逆に、努力や苦労が多いほどその分、だいぶ抽象的になってしまいますが人間として厚みが出てくるものだと思います。

それに受験生の一年なんて人生単位で考えたらほんの一瞬でしかない、でもやらなかった後悔は“一生”残ってしまうのです。自分は電車の中、駅から予備校までの5分程度の徒歩、ご飯中や風呂の中でさえ単語帳を常に見ながら確認していた。こういうひたむきさが合格に直結したのは断言できます。どうせやるなら極めた方が絶対に良い。受験は自分との勝負、頑張らないのは本当にもったいない。

「どうして勉強することを厭わないのか」と質問をされたことがありましたが、やる気の根本は自分でもよくわからないです。日常で電車に乗って、気付いたらTOEICの参考書を開いていたり英字新聞を読んでいたりと、もはや無意識のうちにやっています。他に、自分は他人より秀でている分野がないので勉強なら努力でなんとかなるから頑張ろうってなっているのかもしれません。小学生の頃軽いいじめを受けていたのでこれはありえそうです。もしくは勉強している自分に陶酔しているか(笑)なども考えられます。

何はともあれ勉強がつらいものから趣味の領域まで昇格してしまっています。これはとても喜ばしいことではないでしょうか。生きていく上で“学ぶこと”は絶対に欠かせないものです。勉強を好きになる工夫をしましょう。あとは“感謝”の気持ちです。これが一番大切ですね。
—(抜粋ここまで)

木村君が中3の頃の夏休みの勉強時間は7時間ほど。そして、学校が再開した秋以降は午後5時過ぎに教室に入って、そこから退出が深夜0時頃。そこまでほぼ毎日7時間近く自習をしていた。他人から指示されたことは最終的に身にはつかない。身につくのは「自分で何をするか、を考えて行動したもの」のみだ。塾の授業も、勉強はこうすれば近道ですよというデモンストレーションに過ぎず、果たして塾の授業時間を生徒自身の勉強時間に加算して良いものかどうかは疑問だと言っても良い。

「学校の休み時間などの細切れの時間を活用すること」「逆算で考える(この1冊を1ヶ月で終えるためには、1日何ページをすすめるか)」「勉強が好きになる工夫をすること」「自分で勉強をしないを成績は上がらない(他人から言われてする勉強では成績は上がらない)」

金言の数々が2時間の中で頻繁に出てきたが、終了後に木村君と行った昼食の席でも、私が席を外している間は「スマホではなく」「単語帳を」めくって英単語を暗記していた。前日に幕張メッセでイベントのアルバイトをして、その際に外国人のガイドを担当したため、とっさに使える英単語を覚えなきゃと痛感したらしい。

木村君の話は、今回の夏期講習の作文講座で取り上げた、橋本左内の「啓発録」や森信三の「修身教授録」の内容にも通じており、話を聞いた中3生に響いてくれることを願ってやまない。もちろん、生徒の中に話が急激に浸透しなくても、10年20年経った時に「ああ、あの話はこういうことだったのか」と腑に落ちる場面も出てくるだろう。そういう種まきの意味でも今回は貴重な機会となった。