ひるがえって学生の勉強にこれらの話を当てはめていけば、
勉強でも何でも、ひとつ徹底的にやった方がよいということだ。それは基礎を徹底するという意味でもあるし、基礎を徹底するほど応用力は自在に伸びる。基礎を徹底するということは、いつどの基本レベルの問題が来てもスパッと正確に即答できる力をつけることで、それが先のシェフにおける「仕込み」である。
そして、徹底的にするためのモチベーションをどうしたら確保できるのかということを考えて工夫し続けることも、自分自身の仕事なのである。
先のシェフも、別に誰かに教えてもらったから耐熱フィルムのスープを提供しているわけではない。どうしたら提供時間が短縮できるか、客前でのサービスに時間を注げるかを四六時中考えているうちに「ふと」実験してみた結果である。
もしかしたら、世の中で頑張っている大人ほどクリエイティブな存在はないのかもしれない。世の中のすべての存在・行為は全ての物ごとに通じる。
小学生も中学生も高校生も社会人でも、目の前の物ごとをよく観察して、自分のことに置き換えて考えてみる癖をつけるだけでも、人生は変わっていくはずだ。