和洋国府台女子中学・高校(市川市)

京成本線国府台駅を出て北に徒歩10分。東京医科歯科大、千葉商科大、県立国府台高、筑波大学附属聴覚特別支援学校、国立国府台病院が構成する学園都市の中に本校がある。国府台(こうのだい)という地名は、かつてここに下総国府が置かれていたことに由来している。下総国の政治や文化の中心であった国府台の中心地は、今は里見公園になっている。

本校は1897年創立の和洋女子大学・国府台キャンパスの中にあり、正門を入って左側が18階建てのタワーが目立つ女子大とスポーツ施設、右に中学・高校校舎が位置する。これまで中学は交通の不便な国分キャンパスに置かれて校舎が分散していたが、平成29年度より中学・高校ともに国府台キャンパスに統合された。

私としては緑豊かな田園風景に囲まれた国分キャンパスを気に入っていたが、中学は自然の中でのびのびと、高校からは国府台の都市型キャンパスで大人っぽく、というダイナミズムが消えてしまったのは少々さびしく感じている。

本校の特徴は以下の3点に集約できる。


【1】英語教育
教科書を「場面をイメージする」「イメージとリスニングの一致」「文の音読」「文の構造の理解(文法)」「話す、書く」の5段階に分けて繰り返し習得する和洋ラウンドシステムを導入しており、丁寧に英語力を養っている。

【2】理科教育
カエルの解剖など、実験実習を3年間で100テーマもこなし、観察・考察力を高めている。校舎の廊下各所に生徒の書いたレポートが張り出されているのは必見。理科に力を入れた授業が功を奏し、医・歯・薬・医療技術の大学進学者も例年45名程度出ている。女子校であるにも関わらず理系進学率が高いことは本校の大きな特徴だろう。

【3】和の文化
日常生活の礼儀作法を含めて「小笠原流礼法」が必修。邦楽(琴)、茶道、華道もカリキュラムに組み込まれ、女子校ならでは教育環境が整っている。

高校における生徒の割合だが、高入生と中学からの内進生の割合は3:2。和洋女子大の進学者は例年15%程度だが、進学実績の向上により他大を含めた4年制大学への進学率は80%程度。指定校推薦・AOに頼らない一般受験の合格者も増えている。

体育設備の目玉は授業でも活用される温水プール。部活動ではダンス部と卓球部が全国大会出場レベル。部活動加入率は中学90%、高校80%。ランチは給食が無いため弁当持参または食堂・軽食販売を利用することになる。生徒の様子は各学年とも穏やかで、授業中寝ている生徒もいなければ、私語をしている生徒ももちろんいない。それぞれの生徒が授業に向き合っており、大変好ましい授業風景だ。

ここからは入試について。

【中学入試】
英検4級~5級程度のリスニング問題を配した「英語リスニング型」選考、英語+国語+算数の「3科型」選考と、中学入試の英語試験も普通になってきた。3科型選考での英語は英検4級程度(中学2年レベル)で、リスニングが出題の8割とのこと。

【高校入試】
ここが重要な話だが、併願推薦の場合、一般入試(学力検査)も受験が必須とされており、得点率4割(3科120点以上)が合否のボーダー。平成29年度入試では併願推薦の内申基準は満たして入試相談を通過しても、一般受験で4割の得点が出来なかった6名が不合格になった。このうち、2月5日の後期一般入試で再受験をしてやっと合格した者もいれば、後期一般を受験せずに他校へ志願変更した生徒もいる。つまり、併願推薦で合格が保証されないということなのだ。

英検・漢検などの加点制度も単願推薦のみの扱いとなり、学校側としては「落ちたくなかったら単願へ」という、生徒囲い込みの学校間競争が激化している現実をまざまざと見せつけられた。長年、本校を見てきた私としても、この話は正直鳥肌が立った。和洋国府台の併願推薦で落ちるリスクが出てきたということは、私立併願を二股かけるべきか、それとも単願にシフトして学園の思うツボにはまるか。進路指導の難しいところである。

(2017年5月18日訪問)

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kamiojuku